研究課題/領域番号 |
25461553
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
福田 光成 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (80274330)
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研究分担者 |
鈴木 由香 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄付講座准教授 (00304634)
田中 潤也 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70217040)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 熱性けいれん / HMGB1 / ヌクレオカイン / 海馬細胞障害 / 内側側頭葉てんかん |
研究概要 |
・熱性痙攣の動物モデルを用いた「HMGB-1が熱性痙攣発症に与える影響」の検討 H25年度は「中枢神経系にHMGB-1を投与することにより、幼弱脳の痙攣閾値や痙攣持続時間が影響を受けるか」について熱性痙攣の動物モデルを用いて検討を行った。 熱性痙攣の動物モデルである日齢10-15のルイス雄性ラットを用いた「幼弱ラット温熱誘発痙攣モデル」を用いた研究を行った。このモデルを用いて痙攣誘発1時間前にヒトHMGB-1を点鼻投与して痙攣を誘発したところ、HMGB-1(100μg)投与群で痙攣閾値が低下し、痙攣持続時間が延長された。よってHMGB-1は幼弱脳の痙攣準備性を亢進させることが明らかとなった。現在は更に少量のHMGB-1を用いた追加実験を行っており間もなく終了する予定である。 またHMGB-1投与による海馬の組織障害を検討するために、HMGB-1投与群と対照群で海馬細胞数、GFAP染色によるアストログリオーシス、Iba1染色によるオリゴデンドロサイトーシスの評価を行ったが、明らかな細胞障害やグリオーシスは認められなかった。よって短時間の温熱誘発痙攣においては、HMGB-1は海馬障害に影響を及ぼさないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度はHMGB-1が幼弱脳の痙攣準備性に与える影響、及び温熱誘発痙攣時の海馬細胞障害に与える影響を検討するのが目標であった。よってH25年度の目標は概ね達成された。
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今後の研究の推進方策 |
2年目のH26年度では「HMGB-1は熱性痙攣重積後の内側側頭葉てんかん発症を促進させるか」について検討を行う。具体的には、我々の温熱誘発痙攣重積モデルを用いて温熱誘発痙攣重積後にHMGB-1を投与し、成熟期のてんかん発症の状況をビデオ脳波同時記録システムで、また海馬障害の程度を病理学的に検討する。また高次脳機能障害についても、パッシブアボイダンス試験やロータロッド試験等により評価を行う。 更にはH25年度の前述の実績は、HMGB1はヒト熱性痙攣の発症に関与する可能性を示唆しており、ヒト熱性痙攣患者の検体を用いて「熱性痙攣の患児にはHMGB1やTLR4の遺伝子異常があるのか」についても検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の研究を行うにあたり、相当数の動物と飼育費はもとより、痙攣誘発や手術処置等に必要な試薬やヌクレオカイン等の神経免疫学的試薬、脳内ヌクレオカイン濃度を測定するELISA、動物用頭部MRI検査、脳波検査や脳温測定等の生理検査、組織病理学的検査および遺伝子関連検査に必要な試薬や実験施設使用量が必要となる。 「HMGB1は熱性痙攣重積後の内側側頭葉てんかん発症を促進させるか」について検討は、我々の温熱誘発痙攣重積モデルを用いて、温熱誘発痙攣重積後にHMGB1を投与し、成熟期のてんかん発症の状況をビデオ脳波同時記録システムで、また海馬障害の程度を病理学的に検討する。また「熱性痙攣の患児にはHMGB1やTLR4の遺伝子異常があるのか」については、HMGB1遺伝子の3’ UTRにおける遺伝子多型およびTLR4遺伝子のプロモーター領域における遺伝子多型について、TaqMan SNP Genotyping Assay(Applied Biosystems)またはRFLP法を用いて遺伝子型を決定し、カイ二乗検定で関連解析を行う。
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