研究概要 |
Sotos症候群 (SoS)とBeckwith-Wiedeamnn症候群 (BWS)は、出生前の過生長を特徴とする疾患である。その表現型は類似しているが、その原因は全く異なる。SoSの原因遺伝子は、ヒストンH3リジン36メチル化酵素として機能するNSD1である。一方、BWSの原因は、11p15の刷り込み遺伝子制御領域にある刷り込みDMRのDNAメチル化異常である。このように両疾患の原因は異なるが、その表現型の類似が発症メカニズムの重複によるものと考え、NSD1の変異を持つSoS患者において、刷り込みDMRのDNAメチル化状態を網羅的に解析した。解析したサンプルは、NSD1点変異20例、欠失11例の総計31例の末梢血DNAを使用した。38ヶ所のDMRのDNAメチル化状態をMALDI-TOF Mass法を利用したMassARRAYによって評価し、さらに異常が認められた領域に関しては、pyrosequenceによってその異常を確定した。また、アレル特異的メチル化状態の把握が重要と思われる領域に関しては、SNPを利用してアレル特異的なDNAメチル化状態をbisulfite sequenceにて評価した。結果、正常小児末梢血DNAと比べ10%以上の低メチル化を示すDMR領域として、ARHI-CG1, IGF2R-DMR2, INPP5F-V2, DLK1, IG-DMR-CG6, TCEB3C CpG, USP29, NNAT, GNASXLなどが得られた。また、点変異例より、欠失例の方が、低メチル化を示す領域が多い傾向にあった。さらに、この異常を示したDMRには、BWSの原因遺伝座に位置するDMRもあった。このことは、SoS とBWSの表現型の重複を説明するかもしれない。
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