研究実績の概要 |
熱性けいれん疾患感受性遺伝子を同定するため、我々が以前同定した熱性けいれん遺伝子座FEB4(5q14-q15)に欠失をもつ「5q14.3-q15微小欠失症候群」においててんかん発症にかかわると考えられているmad box transcription enhancer factor 2, polypeptide C (MEF2C)とG-protein coupled receptor 98 (GPR98)の2つの遺伝子について解析を行った。具体的にはダイレクトシークエンス法とMultiplex ligation-dependent probe amplification (MLPA)法を用いて、遺伝子変異検索を行った。 MEF2C遺伝子については、1つのサイレント変異、4つのイントロン変異およびエクソン1の重複変異が同定された。GPR98遺伝子については5つのミスセンス変異、4つのサイレント変異、13のイントロン変異が同定された。これらの変異については現時点では熱性けいれんの発症との明らかな関わりは証明できていない。 GPR98遺伝子については重複や欠失の有無を解析するためにMLPA解析用のプローブをさらに作成した。まずMLPA Designer プログラム(PREMIER Biosoft社)を用いて、GPR98遺伝子の全エクソンについてMLPAプローブを設計した。GPR98遺伝子はこれまでに知られている細胞表面タンパクとしては最大の遺伝子であり、600kb以上の長さにわたり全体で90エクソンからなりたっている。そのため、まず設計したプローブのうちてんかんの発症に重要と考えられているepilepsy-associated repeat (EAR)ドメイン部分(エクソン46, 47, 48, 49, 50, 51)とエクソン1、エクソン90について実際にプローブを作成した。 今後、MLPAのための至適反応条件を検討し、血縁関係のない日本人熱性けいれん患者についてMLPA解析を行い、GPR98遺伝子と熱性けいれん発症との関連をさらに検討していく予定である。
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