研究実績の概要 |
本研究は小児の肥満の形成および代謝異常(メタボリックシンドローム)の出現にとって、出生直後、乳児期、幼児期および学童期のいずれの時期の体重増加がcriticalな意義を持つかを明らかにし、それに基づいて効果的な肥満予防方法を確立することが目的である。 平成25年、26年の本研究を通じて我々は幼児期にBMI(body mass index)が減少から増加に転じるアディポシティリバウンド(adiposity rebound:AR))が早期に始まるほど、将来のメタボリックシンドロームのリスクが高まることを明らかにし、米国小児科学会雑誌にその成果を論文発表した(Pediatrics 2014)。 さらに、出生コホートで出生した427名で、出生体重を3分位[出生体重小群(≦2,980g [最小体重1,500g ] (157人)、出生体重中間群(2,980~3,320 g (157人)、出生体重大群(≧3,320g[最大体重4,500g ] (157人 ))に分け、各群のARの開始年齢を求めた。その結果、出生体重小群のAR年齢は、3歳(8人)、4歳(46人)、5歳(47人)、6歳(29人)、7歳(16人);出生体重中間群のAR年齢は、3歳(27人)、4歳(28人)、5歳(48人)、6歳(30人)、7歳(28人);出生体重大群のAR年齢は、3歳(37人)、4歳(44人)、5歳(41人)、6歳(22人)、7歳(18人)であり、Kruskal-Wallis 検定で3群間のARの開始年齢に有意差(p<0.01)が認められ、出生体重が小さくても大きくても、出生体重中間群に比較してARが早く開始する傾向にあることを明らかにした。
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