研究課題/領域番号 |
25461564
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
飯島 修 日本医科大学, 医学部, 助教 (40466206)
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研究分担者 |
三宅 弘一 日本医科大学, 医学部, 准教授 (90267211)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 再生・細胞医療 / 遺伝子治療 / 低フォスファターゼ症 / 骨髄幹細胞 / 造血幹細胞 / 骨格筋芽細胞 / レンチウイルスベクター / アルカリフォスファターゼ |
研究実績の概要 |
本研究の対象疾患である低フォスファターゼ症(HPP)は組織非特異型アルカリホスファターゼ(TNALP)の遺伝子変異による先天性代謝異常症であり、骨や歯の低石灰化やてんかん発作等の症状を呈する。本研究では、特に重症度の高い周産期型HPPの治療を目指し、TNALP発現骨髄幹細胞を用いた新規再生医療・細胞治療技術の開発を目指している。 今年度我々は、レンチウイルスベクターを用いてマウス骨髄幹細胞に骨親和性TNALP(TNALP-D10)遺伝子を強発現させ、かつこの骨髄幹細胞を生後2日目の新生児HPPモデルマウスに移植することで、治療マウスにおける有意な延命効果を確認した。治療マウスの血中ALP活性は治療効果の期待できるレベルまで急速に上昇し、骨の低石灰化の改善も認められた。並行して、骨格筋芽細胞の調製法を確立し、現在遺伝子導入条件の最適化を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新生児HPPモデルマウスにTNALP-D10を強発現する骨髄幹細胞を移植することで、生存期間の有意な延長、骨低石灰化の症状の改善などが確認されたことから、概ね予定通り検討が進んでいる。 骨髄幹細胞以外に骨格筋芽細胞の細胞治療法の担体としての有用性を評価するために、骨格筋芽細胞の分離培養、遺伝子導入条件に関しても最適化が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究によって得られた治療効果を確かなものとするために、移植条件など治療法の最適化を進める。特にブスルファンなどの免疫抑制剤でも放射線照射と同等の移植前処置の効果が得られるか検討を行う。 並行して、骨格筋芽細胞を用いたHPPの細胞治療の可能性に関しても検討を進めたいと考えている。 また、臨床応用に向けて先行する酵素補充療法に関する情報収集も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
おおむね順調に研究は進展したが、平成26年度中に投稿予定だった論文の投稿が次年度に持ち越しとなったため、その分の経費などの繰越残高が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究を遂行する上で必要な細胞の調製、HPPマウスの維持管理、および解析に必要な試薬、消耗品の購入に使用する。また研究費の一部は関連学会での発表および論文投稿に係る諸経費にも使用する予定である。
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