研究課題/領域番号 |
25461567
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
中島 光業 松山大学, 薬学部, 准教授 (70311404)
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研究分担者 |
古川 美子 松山大学, 薬学部, 教授 (20219108)
奥山 聡 松山大学, 薬学部, 助教 (40550380)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自閉症 / モデルマウス / 性差 / 社会性行動 |
研究概要 |
これまでに私たちは、Wnt1-cre, Wnt1-GAL4ダブルトランスジェニックマウス(dTgマウス)の雄が社会性行動異常を含む自閉症様の異常行動を示すこと、また、同マウスの雌では社会性行動に異常が認められないことを見いだした。本研究では、このdTgマウスの行動学的雌雄差を規定する要因を明らかにすることを通して、ヒトの自閉症でみられる発症率の性差(雄:雌=4:1)に影響を及ぼす要因を明らかにし、もって自閉症病態の本体の解明、並びに、治療薬開発に貢献することを本研究の目的とする。 本年度はまず、dTgマウスの行動異常について、雌雄の違いに注目して解析を行った。3チャンバー試験では、社会相互作用の質的欠如が雌雄いずれのdTgマウスでも認められた。一方、MK801投与後の運動量の比較では、雌のdTgマウスで運動量の上昇が認められたのに対して、雄では運動量は変化しなかった。固執性を示す不動時間に関しては、雌のdTgマウスが野生型に比して不動時間の減少傾向を示したのに対し、雄では逆に不動時間の増加傾向が認められた。雌の哺育行動観察では、初産後7日目の新生仔生存率を調べたところ、野生型母マウスの場合が約70%であるのに対してdTgマウスでは0%であった。 生後dTgマウス脳重量に関しては、雄雌共に野生型との違いは認められなかった。 性差が知られるホルモンのうち、テストステロンの血清中濃度に関しては、雄雌共にdTgと野生型間で違いは認められなかった。一方、プロラクチン血清中濃度に関しては、雌のdTgマウスで有意な低下が認められたが、雄では違いは認められなかった。 今年度の研究では、行動異常とホルモン濃度異常に関する雌雄差を見いだすことができた。引き続き今後も雌雄差が認められる事象を拡大し、ヒトの自閉症で見られる発症率の性差を規定する要因を明らかにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
行動学的解析と脳重量測定に関しては、概ね順調に進展しているが、性ホルモンの測定に関しては、やや遅れている。理由は、測定に必要なサンプルを十分量確保するのに手間取ったためである。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、次年度にはオキシトシンとバソプレシンに関連するの分子のdTgマウス脳内における発現状態を解析する。また、脳内神経伝達物質の量的変化についても解析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度実施予定であった実験を次年度に行うことにななったため。 今年度実施予定であった実験に必要な物品を次年度に購入する。
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