これまでに私たちは、神経堤由来組織特異的なコンディショナルノックアウトマウスの作製で汎用されているデリーターマウス(dTgマウス)の雄が自閉症様の異常行動を示すこと、また、同マウスの雌が統合失調症様の異常行動を示すことを明らかにした。本研究では、このマウスの行動学的雌雄差を規定する要因を明らかにして、ヒトの自閉症で見られる発症率の性差(雄:雌=4:1)に影響を及ぼす要因を明らかにし、もって自閉症病態の本体の解明を本研究の目的とした。今回の研究では、脳内オキシトシン含量の低下が雌dTgマウスで起こり、これが原因となって雌のdTgマウスでは自閉症様の症状が統合失調症様に変化する可能性が示唆された。
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