研究課題
基盤研究(C)
本研究課題で利用するMeCP2欠損ES細胞、およびRTTモデルマウス由来のMeCP2欠損iPS細胞は既に樹立しており、ニューロンなどへの多分化能を有することは検証済みである。そこで、初年度は主に、RTTモデルES/iPS細胞によるグリア細胞(アストログリア、オリゴデンドロサイト、ミクログリア)分化誘導法の確立を行った。1)アストロサイトの分化誘導:ES/iPS細胞から神経幹細胞、グリア幹細胞を分化誘導することが可能であり、神経幹細胞、グリア幹細胞の誘導を介したアストロサイトの分化誘導を試みた。2)オリゴデンドロサイトの分化誘導:McDonald-JWらによって、ES細胞からオリゴデンドロサイトの分化誘導法が示されている(PNAS ‘00)。そこで本方法、ならびに1)のグリア幹細胞誘導法を応用してES/iPS細胞におけるオリゴデンドロサイトの分化誘導を行った。3)ミクログリアの分化誘導:Neumann-HのグループによってマウスES細胞からミクログリアの分化誘導法が報告されており(Nat. Protocol ‘10)、このNeumann-Hらの方法を参考にES/iPS細胞によるミクログリアの分化誘導を行った。以上の種々のグリア細胞の分化誘導を行い、分化マーカー遺伝子、蛋白質の発現を解析することで分化の有無、効率を検討し、効率は良くないがそれぞれの方法で、分化マーカーの発現が確認できた。
3: やや遅れている
本年度は主に、ES細胞によるミクログリアとオリゴデンドロサイトの分化誘導法の確立を行い、以前に報告された方法でそれぞれのグリア細胞の分化が確認される状態にある。しかしながら、ES細胞から分化誘導した目的のグリア細胞それぞれについて、RTT病態の評価が可能な純度、効率を満たす分化誘導法の確立には至っていない。
分化効率の良い分化誘導法の確立を引き続き続けるとともに、初代培養細胞による実験を平行して行い、ES/iPS細胞で得られた結果を比較検討しながら、グリア細胞からみたRTT病態メカニズムを明らかにするとともに、病態モデルとしてのES/iPS細胞の有用性を評価する。
ほぼ計画通り研究を行い、研究費を有効利用できたたが、わずかな未使用金がでてしまった。最終的な年度末の調整のためだけに無理な支出を行うよりは、繰り越しして少しでも次年度有効に使用するのが良いと考えた。次年度交付助成金分とあわせて、研究用試薬を購入するための物品費として利用を考えている。
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