研究課題
本研究では、神経内分泌ホルモン「グレリン」の投与が、野生型マウス(BL6/J)の骨髄細胞を Rett症候群モデルマウス(Mecp2/Bird mice)に骨髄移植することで期待される延命効果に対して、更なる追加効果をもたらすか否かに関して基礎検討を行った。われわれの研究では、Derecki らの論文報告 (Nature 2012) に報告された方法に基づいて、Rettマウスに放射線照射を行った後に、同系統の野生型マウスの骨髄を移植した。しかしながら、その後に Wang らによる上記論文への反証が報告された(Nature 2015)。実際に、われわれが施行した Rettマウスへの骨髄移植の生着率は 40% 前後とほぼ良好であったが、移植骨髄が生着したRettマウスでも、その有意な延命効果は確認できなかった。その一方で、骨髄非移植の Rettマウスに対してグレリンを反覆投与すると、同マウスの神経症状の出現が、有意に抑制される(神経症状の発症が遅延する)効果が確認された。残念ながら、骨髄移植後のRettマウスでは、移植後の生存期間が短いため(2週間程度の予後)、同マウスへのグレリン投与による神経症状の抑制効果は判定できなかった。このため、H.26, 27年度の報告書にも記載したサブプロジェクト:放射線障害へのグレリンの防護効果に関する検討を開始した。本年度(H.28年度)及びそれ以前の検討で、骨髄抑制量の放射線被ばくマウスの末梢血減少に対して血中にグレリンを反覆投与すると、有意な改善効果が確認された。これらの研究成果は、H.27年秋の西日本生理学会、H.28年春の日本生理学会、及び、日本内分泌学会学術総会で報告した。これらの研究成果に基づいて、新たな研究テーマ:脳腸ホルモン「グレリン」による放射線障害への防護・修復効果の検討(16K09814)を立ち上げて研究を継続中である。
すべて 2016 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
General and Comparative Endocrinology
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https://researchmap.jp/read0212158/