研究課題
基盤研究(C)
電位依存性ナトリウムチャネルα2(SCN2A)遺伝子は、乳幼児発症てんかん性脳症、自閉症、そして知的障害の責任遺伝子として報告されている。本研究の目的は、てんかんや自閉症、知的障害に関わる脳神経回路を同定し、病態理解と治療法開発に貢献することである。本研究の実施計画は、次に挙げる3項目「1、SCN2A遺伝子産物(Nav1.2)のマウス脳内発現局在様式の解析」「2、てんかんモデルマウス確立を目指したヘテロ接合型興奮性神経細胞特異的SCN2A遺伝子破壊マウスとヘテロ接合型GABA作動性インターニューロン特異的SCN2A遺伝子破壊マウスの解析」「3、知的障害モデルマウス確立を目指したヘテロ接合体SCN2A遺伝子ノックアウトマウスの空間学習能力と文脈記憶能力の解析」から構成されている。当該年度について、研究計画項目1は、Nav1.2の脳内発現量がマウス乳児期から離乳期にかけて急激に上昇すること、そしてNav1.2の局在様式が同発達時期に変化することを見出し、Nav1.2が興奮性神経細胞の発火パターンの変遷に重要な役割を担っていること、そしてSCN2A遺伝子変異が乳幼児期の脳発達に重大な影響を及ぼす可能性があることを示唆した。また、Nav1.2がある種の抑制性神経細胞でも発現する予備データも得ており、次年度に詳細な解析を行う。研究計画項目2は、コンディショナルSCN2A遺伝子破壊マウスのけいれん誘発剤に対する感受性をテストし、観測データ(ビデオデータ)の蓄積を行った。次年度にビデオデータの解析を行う。研究計画項目3は、SCN2A遺伝子ノックアウトマウスについてバーンズ迷路テストと恐怖条件付けテストを行い、ビデオデータの解析を行った。本解析結果は、次年度に実施する解析結果と合わせ、SCN2A遺伝子ノックアウトマウスの空間学習能力と文脈記憶能力を判断する。
2: おおむね順調に進展している
1、SCN2A遺伝子産物(Nav1.2)の脳内局在分布について、データの蓄積が順調に進行した。2、コンディショナルSCN2A遺伝子破壊マウスのけいれん誘発剤に対する感受性について、データの蓄積が順調に進行した。3、SCN2A遺伝子ノックアウトマウスのバーンズ迷路テストと恐怖条件付けテストについて、データの蓄積が順調に進行した。
1、Nav1.2の脳内局在分布について、次年度も継続して観察データの蓄積を行い、今年度分のデータと合わせて解析する。2、コンディショナルSCN2A遺伝子破壊マウスのけいれん誘発剤に対する感受性について、今年度に蓄積したビデオデータを解析するとともに、脳波記録も行う。3、SCN2A遺伝子ノックアウトマウスのバーンズ迷路テストと恐怖条件付けテストについて、次年度も解析を行い、今年度分の結果と統合する。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
Human Molecular Genetics
巻: 22 ページ: 4784-4804
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PLoS One
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http://www.riken.jp/pr/press/2013/20130807_1/