• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

小児薬剤に対する新型iPS細胞由来肝細胞による先駆的解析システム戦略の創成

研究課題

研究課題/領域番号 25461574
研究種目

基盤研究(C)

研究機関独立行政法人国立成育医療研究センター

研究代表者

中村 直子  独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖・細胞医療研究部, 研究員 (40443121)

研究分担者 梅澤 明弘  独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (70213486)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2018-03-31
キーワード再生医療 / 臨床研究
研究概要

(1)ヒトiPS 細胞から肝細胞への分化誘導を制御する基盤技術の開発
① ヒトiPS 細胞のin vitro 肝細胞分化誘導方法の開発. 臨床応用に向けて、安定性、安全性の高い、簡便な分化誘導系が必要である。ヒトiPS細胞 をin vitro において成熟度の高い肝細胞へ分化誘導する系を開発した。臨床応用の可能性を鑑みて、肝細胞特異的サイトカインや動物由来因子を用いず、最小限の試薬や基材の使用のみで自然発生的に肝細胞を分化誘導する系を確立した。
②ヒト iPS 細胞由来肝細胞の成熟度評価、分化制御の分子機序解明. 本方法によりヒトiPS 細胞から分化誘導した細胞について、肝特異的遺伝子発現解析を行い、未熟肝細胞マーカーであるアルファーフェトプロテイン、成熟肝細胞マーカーであるアルブミン、アルファー1-アンチトリプシン、トリプトファンジオキシゲナーゼ、解毒酵素遺伝子であるシトクロームp450 (Cyp3A4)の遺伝子発現が、未分化ヒトiPS細胞に比して上昇していることを確認した。
③ヒトiPS細胞由来肝細胞の機能解析. 確立した分化誘導系を用いて作製したヒトiPS由来肝細胞の特性を形態、グリコーゲン蓄積、解毒能、アンモニア代謝能について解析した。分化誘導した細胞は肝細胞様形態を示し、電子顕微鏡による観察においても肝細胞特異的細胞構造を呈した。また、これらの細胞は、PAS染色によるグリコーゲンの蓄積能を示し、ICG取込み排出能を認めた。さらに、添加したアンモニアを代謝する機能を保持していることが確認出来た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実施計画書に記載の通り、ヒトiPS細胞のin vitroにおける臨床応用に使用可能な肝細胞分化誘導法を開発することが出来た。本方法は、肝臓特異的サイトカインや動物由来因子を用いず、安定的に安全な肝細胞が作製可能であった。またこの細胞における分子学的特性解析により、ヒトiPS細胞から成熟肝細胞に特異的な遺伝子発現が保持されていること、分化誘導過程は生体発生を模倣するように、内胚葉マーカー遺伝子、未熟肝細胞特異的遺伝子の発現も認めらることが分かった。肝細胞特異的機能解析により、グリコーゲン蓄積能、解毒機能、アンモニア代謝能、薬剤による解毒酵素誘導も保持していることが分かった。但し、マイクロアレーによる網羅的遺伝子解析による新たな肝細胞成熟化因子の同定には至っていない。よって、今年度の研究目的達成度としては、初年度であることを考慮しおおむね順調であると評価した。

今後の研究の推進方策

(1)機能的肝細胞維持・凍結法開発
①ヒト iPS 由来肝細胞の機能維持培養技術の開発. 現在までのヒトiPS由来肝細胞分化誘導法をブラッシュアップすることにより、長期間におけるiPS 由来肝細胞の機能維持を目指す。
② 機能的肝細胞凍結法の開発. 肝細胞の機能維持培養法、機能維持凍結保存法の開発は様々な分野で望まれている。本研究で開発される肝細胞保存法は、細胞生物学の分野にも、創薬研究の分野にも非常に有益な情報をもたらすものとなる。まず、本方法で作製したヒトiPS細胞由来肝細胞における剥離法、継代培養法の確立を目指す。
(2)高アンモニア血症治療に向けたin vivo解析
① 高アンモニア血症モデルマウスの作製. 先天性高アンモニア血症を引き起こす原因となるオルニチンカルバミラーゼ欠損マウスを用いて、ヒト細胞移植に使用可能に向けて免疫不全化(scid化)高アンモニア血症モデルマウスを作製する。それとともにオルニチン免疫抑制剤投与カルバミラーゼ欠損マウスを用いた移植技術について投与時期、投与量などの詳細検討を計画している。
② 高アンモニア血症モデルマウスへのiPS細胞由来肝細胞の脾臓投与. 作製した免疫不全、または免疫抑制剤投与オルニチンカルバミラーゼ欠損マウスの脾臓に、iPS細胞由来肝細胞を移植し、このマウスの血中アンモニア濃度変化、生存率変化などを検討する。

次年度の研究費の使用計画

本年度に予定していた受託解析を依頼しなかったため、当該年度予定使用額に残金が生じたが、次年度早々に行う予定である。
次年度予定使用額通り、抗体、試薬、消耗品などの物品の購入。また、出張費に使用。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 幹細胞から分化誘導された機能的肝細胞の特性と利用ー幹細胞分化肝細胞が満たすべき要件2014

    • 著者名/発表者名
      中村直子、絵野沢伸、梅澤明弘
    • 雑誌名

      Organ Biology

      巻: Vol.21, No.1 ページ: 33-41

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi