研究課題/領域番号 |
25461575
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研究機関 | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
内木 康博 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (20470007)
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研究分担者 |
勝又 規行 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (10260340)
深見 真紀 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (40265872)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 先天性副腎皮質過形成 / 遺伝子治療 / アデノウィルス随伴ウィルスベクター / ips細胞 / ES細胞 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は21水酸化酵素欠損症のモデルマウス(Cyp21欠損マウス)を用い、非侵襲的な遺伝子治療を確立することであった。昨年度までの研究でCyp21欠損マウスから初代培養して得られた線維芽細胞にレトロウイルスベクターを用いてCyp21遺伝子を発現させ、これをCyp21欠損マウスの皮下に自家移植することで血液中のプロゲステロンが21位水酸化を受けてデオキシコルチコステロン(DOC)に代謝されるのを確認したが、より効率のよい遺伝子導入を図る目的でアデノウィルス関連ウィルスベクター(AAVベクター)を用いてCyp21欠損マウス体内に直接Cyp21遺伝子導入を試みたところ、血液中のプロゲステロンが他の方法より効率よくDOCに代謝されることが確認できた。
本年度までにCyp21a1欠損の成獣マウスの3個体に対してAAVベクターを筋肉内に投与し得た。これによって血液中のプロゲステロンが他の方法より効率よくDOCに代謝されることが確認できた。実際RVベクターと比べ、AAVベクターを用いた場合。前者の改善率が43%であったのに対し、後者は94%と有意にAAVベクターの方が有効であった。さらに非生理的な発現部位である筋肉ではなく、副腎にAAVベクターを導入して発現した場合の有効性を2個体において検討したが改善を認めなかった。
今後はアデノウィルス関連ウィルスベクター(AAVベクター)を使ってのCyp21欠損マウス体内へのCyp21遺伝子導入法についてさらに個体数を増やして長期の安全性と治療効果を確認し論文化する予定である。また投与部位について有効性が認められた筋肉内注射に加えて副腎への導入について個体数を増やして有効性を確認していく予定である。さらにCyp21a1遺伝子に加えてscid遺伝子の重複欠損マウスの作成を試みて安定して供給が可能であるヒトES細胞を用いた治療も検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生直後よりステロイド補充をしているにもかかわらずホモの欠損マウスの過半数が乳児期に死亡してしまうため、実験に使えるマウスが十分な数だけ作成できていない。
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今後の研究の推進方策 |
ホモの欠損マウスの作成に関しては交配数を増やして対応していく予定である。2015年5月現在Cyp21遺伝子がホモに欠損し2匹の成獣マウスを成育し得たことより、このマウスを使ってAAVベクターを使った治療を行う予定である。このデータを合わせて治療のデータは論文発表に足りる予定で、これをもって論文投稿を進めていく予定である。さらにCyp21遺伝子とscid遺伝子の重複欠損マウスの作成にも着手しており、これによってips細胞とともにヒトES細胞を移植する研究の可能性を探索中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験モデルマウスの作成に難渋し、予定通りの個体数が作成できなかったため治療実験が予定数行えずにホルモン測定のための予算が使い切れなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度はさらに交配数を増やして実験モデルマウスを十分な個体数作成する予定である。
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