研究課題
目的:分子生物学的研究・大規模な臨床研究・専門的な統計解析を一つの研究室に集約することにより、小児のインフルエンザにおいて未だ評価の定まっていない治療法の再評価を行うと同時に、治療法の見直しに結びつく病態解析を行うことが本研究の目標である。背景:(1) 現在、4種類の抗ノイラミニダーゼ阻害薬がインフルエンザの治療に用いられている。ラニナミビル(吸入薬、1回のみ)、オセルタミビル(内服薬、1日2回、5日間)、ペラミビル(注射薬、原則として単回)、ザナミビル(吸入薬、1日2回、5日間)。これらの薬剤の効果は基本的には同列とされており、剤形(吸入薬、内服薬、静注薬)の特徴に応じた使い分けが提唱されている。(2) 過去に、我々は10歳以下の小児にラニナミビル(吸入薬、1回のみ)あるいはザナミビル(吸入薬、1日2回、5日間)を用いた場合の効果を検証したことがあるが、10歳以下の患者にラニナミビル(吸入薬、1回のみ)を使用した場合に2峰性発熱が有意に多いことを見いだした。(3) 4種類の抗ノイラミニダーゼ阻害薬には、その効果の違いがある筈であり、これを見分けることが臨床上有用である。具体的内容:約30の協力医療機関を受診したA型およびB型インフルエンザ患者を対照として、前向き観察研究を行う。(1) インフルエンザA型に感染した0-18歳の小児患者をラニナミビル群、オセルタミビル群、ペラミビル群、ザナミビル群の4群に分けて、投与開始から解熱までの時間を主要評価項目として有効性を評価したところ、オセルタミビル群とペラミビル群の効果が有意に高かった。(2) 同様に、インフルエンザB型に感染した0-18歳の小児患者を4群に分けて、投与開始から解熱までの時間を主要評価項目として有効性を評価したところ、ラニナミビル群とザナミビル群の効果が有意に高かった。
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