CD44を高発現する小児白血病由来白血病細胞株にCD44リガンドである超低分子量ヒアルロン酸を添加すると、サイミジン取り込みが著明に抑制された。CRISPR/Cas9法を用いた遺伝子編集技術によって作成されたCD44欠損細胞株ではサイミジン取り込みは抑制されず、細胞表面CD44発現がサイミジン取り込み抑制に必須であった。このサイミジン取り込みの抑制は、細胞回転停止の誘導ではなく、細胞死誘導であることが明らかとなった。また、細胞死は汎カスペース阻害剤やオートファジー阻害剤では全く抑制されず、ネクローシス阻害剤で完全に抑制された。透過電子顕微鏡による細胞形態の観察でも細胞死がネクローシスであることが支持された。超低分子量ヒアルロン酸を添加後に細胞内reactive oxygen species (ROS)濃度が著明に上昇することが明らかになり、ネクローシス誘導に深く関連していると考えられた。超低分子量ヒアルロン酸の作用と同様な効果を示す低分子化合物や抗CD44抗体を同定できれば、CD44高発現腫瘍の分子標的療法となる可能性が示唆された。
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