研究課題/領域番号 |
25461586
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
竹下 敏一 信州大学, 医学部, 教授 (60212023)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | サイトカイン受容体 / アレルギー / 受容体遺伝子多型 / 小胞輸送シグナル |
研究概要 |
我々はIL-2受容体β鎖(IL-2Rβ)、IL-4受容体α鎖(IL-4Rα)が従来の受容体と異なり、ユビキチン「非依存性」に小胞輸送されること、またその輸送の分子的基盤を明らかにして、ユビキチン“非依存性”小胞輸送ルートの存在を証明した。このユビキチン“非依存性”小胞輸送の不全が、受容体からのシグナルの増強をもたらしたことから、この小胞輸送ルートを辿るサイトカイン受容体の輸送不全とアレルギー疾患との関連を探索して、医学基盤を整えることを目的とする。このユビキチン“非依存性”小胞輸送に受容体の疎水性アミノ酸クラスターが必須であり、そのクラスターのアミノ酸配列はIL-2Rβはアミノ酸336-338(FFFHL)、IL-4Rαはアミノ酸410-415(LFLDLL)であった。この様なアミノ酸の1次配列は「小胞輸送シグナル」と呼ばれ、この輸送シグナルをトランスフェリン受容体などのC末端に連結すると、このキメラ受容体はrecycle endosomeに輸送されず、リソソームへと輸送される。そこで我々はIL-2Rβの疎水性アミノ酸クラスター(365-369:FFFHL)を通常recycle endosomeに輸送されるIL-2Rαの細胞内領域C末端に連結して、その細胞内輸送を観察した。しかし、このIL-2Rαのキメラ受容体はリソソームに輸送されず、野生型のIL-2Rαと同様にrecycle endosomeへ輸送されたことから、完全な「小胞輸送シグナル」として働くためには未だ未同定の領域があることが浮かび上がった。ところが、このクラスターのC末に続く任意の30アミノ酸があればIL-2Rαのキメラ受容体はリソソームに輸送されることが判明した。この結果は、IL-2RβとIL-4Rαの疎水性アミノ酸クラスターが完全な「小胞輸送シグナル」として十分な条件を満たしていることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画では、受容体の疎水性アミノ酸クラスターの「小胞輸送シグナル」としての解析は、平成27年度の予定であったが、実験が予定より順調に進み、疎水性アミノ酸クラスターが「小胞輸送シグナル」と見なして良い結果を得て、論文としてまとめることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
受容体の疎水性アミノ酸クラスターは小胞輸送に必須であることは、既に明らかにしていた。今回、このアミノ酸クラスターのみで「小胞輸送シグナル」として十分機能していることが判ったことから、疎水性アミノ酸クラスターのみを変異もしくは多型の探索対象にして必要十分であると結論づけられた。従って、アトピー等アレルギー患者の検体収集をこのまま推し進めて行く。
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