研究課題/領域番号 |
25461597
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
江口 真理子 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40420781)
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研究分担者 |
石井 榮一 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20176126)
江口 峰斉 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (50420782)
東山 繁樹 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (60202272)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 小児血液学 / 白血病 / 融合遺伝子 |
研究実績の概要 |
Chicken-beta-actine (CAG) プロモーター下にMLL-AF4を恒常的に発現するマウスES細胞を作製した。MLL-AF4は未分化ES細胞の未分化能の維持および増殖能に影響を与えなかった。MLL-AF4を発現する未分化ES細胞はFlk1陽性細胞への分化が阻害されており、Flk1陽性細胞より派生する造血細胞への分化も抑制されていた。造血細胞への分化が抑制されている代わりに、Pdgfra陽性の間葉系細胞の方向へ分化が進む傾向が認められた。また未分化な造血幹細胞を含む細胞分画であるTie2陽性かつc-kit陽性の分画もMLL-AF4を発現する細胞では減少していた。MLL-AF4発現ES細胞をcollagen I等でコートした培養ディッシュで培養すると2-3週間程度でCD45陽性の造血細胞が出現することから、MLL-AF4発現ES細胞の造血細胞への分化能は完全に喪失しているのではなく、適度な条件下では造血細胞へ分化する能力を有していることが示された。免疫不全マウスにMLL-AF4発現ES由来造血前駆細胞を移植し、白血病を発症するかどうか検討を行ったが、有意な白血病の発症は認められなかった。現在レトロウイルス挿入変異により付加異常を導入し、細胞増殖への影響や移植マウスでの白血病の発症の有無を検討中である。 またMLL-AF4発現ES細胞およびコントロール(EGFP発現)ES細胞から未分化造血幹細胞を含む分画であるTie2陽性細胞をFACSにて分離し、発現アレイにて発現異常のスクリーニングを行った。MLL-AF4発現細胞では多数の遺伝子の発現上昇が認められたが、癌遺伝子として報告されているHMGA2遺伝子もその一つであった。HMGA2遺伝子は、MLL-AF4陽性の乳児白血病症例においても高発現が認められており、白血病化に関与している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
MLL-AF4発現マウスES細胞へのレトロウイルス感染と挿入遺伝子変異の導入が技術的に安定しなかったため、当初の達成目標より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
実験計画の推進に必要な実験手技はほぼ確立しており、今後実験計画に沿って推進は可能である。免疫不全マウスでの白血病モデルの作製と治療表的の同定に関して検討を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度計画していたNOGマウスを用いたマウスES細胞由来の造血前駆細胞移植実験が、予定より進まなかったため、マウスおよびその解析に充てる費用が予定を下回った。また学内資金による本研究計画への研究費の一部補助が得られたため、研究費の使用額が縁、研究費に次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、昨年度から進めているNOGマウスを用いたMLL融合遺伝子を発現するマウスES細胞の移植実験を行う。また得られ白血病初期の細胞を用い発現アレイ解析を行いMLL融合遺伝子の標的遺伝子を同定し、分子標的療法のターゲットとなり得るかどうか検討する。
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