研究課題/領域番号 |
25461598
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
保科 隆之 産業医科大学, 医学部, 助教 (30398078)
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研究分担者 |
西尾 壽乘 九州大学, 大学病院, 助教 (00507783)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 感染症学 / 予防医学 / 免疫学 |
研究概要 |
本研究の目的は、7価肺炎球菌結合ワクチン(PCV7)接種前後の抗体価とオプソニン活性、インフルエンザ桿菌b型結合ワクチン(Hibワクチン)接種前後の抗体価と血清細菌活性を測定し、それぞれを健常児と免疫不全児および早産児との間で比較することで、免疫応答が低下している小児におけるPCV7とHibワクチンの有効性を検討することに加えて、ワクチン低感受性者の要因を探るために、末梢血リンパ球サブセット(特にメモリーT、B細胞の割合)や口腔内常在菌叢パターンの違いなどを解析し、これらの結果を基に免疫応答が低下している小児への最適なワクチンスケジュールの確立を目指すことである。 今年度は、対象小児(免疫不全小児、早産児および健常児)にPCV7およびHibワクチンを接種する前後で血清を採取し、PCV7に含まれている血清型(4、6B、9V、14、18C、19F、23F)に対するIgG抗体価とオプソニン活性およびHibに対するIgG抗体価および血清細菌活性の測定を行った。その結果、免疫不全小児のうち、造血幹細胞移植後の症例では、PCV7接種後の血清型特異的IgG抗体価およびオプソニン活性が健常児と比較して有意に低下していた。免疫抑制剤内服などの免疫抑制療法中の児や早産児のIgG抗体価およびオプソニン活性は健常児と同等だった。造血幹細胞移植後の児のリンパ球サブセットを解析したところ、メモリーB細胞の割合が少ない傾向があり、ワクチン接種後の抗体産生およびオプソニン活性上昇には、メモリーB細胞が重要な役割を果たしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象者を増やし、統計学的処理を行うことが可能な人数を順調に集めることができている。また、血清抗体価、オプソニン活性および血清細菌活性の測定も問題なく行えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き症例を集積し、データの解析を行う。また、ワクチン有効性の差に関する要因の解析も行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の予定よりも実験試薬および実験器具にかかる費用が少なかった。また、謝金や人件費が不要であったことが要因と考える。 次年度以降、実験にかかる費用については不確定な部分もあり、また、新たな実験も行う予定があるため、次年度予算に加えて前年度の繰越金を使用する。
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