研究課題
基盤研究(C)
ALL細胞株(CCRF-CEM)を培養し、抗がん剤であるシタラビンを4mg/mLの濃度で添加し、細胞死を惹起した。PI (propidium iodide)用いてFACSを行い、45±6%の細胞が細胞死をおこしていることを確認した。(この条件は後の実験の陽性コントロールとする。)上記の条件でシタラビンを添加し培養した培養液の上清を用いて、WT1抗体(C-19: Santa Cruz Bio)を用いてWestern blotを実施した。WT1蛋白は低レベルであったが、検出できた。同条件で得られた培養上清を用いて、WT1蛋白をCBB染色し、この膜を用いてプロテアーゼを用いたin gel digestionし、ペプチドに断片化た。逆相HPLCにてペプチドの断片を得たのち、ペプチドマップを作成し、最終的にC-19抗体に結合した蛋白の内部配列を特定した。このアミノ酸配列を元に、3種類の25~30塩基のペプチドを合成した。これらの合成ペプチドを用いて、合成ペプチドに特異的に結合する糖鎖をスクリーニングする予定である。
2: おおむね順調に進展している
細胞死によって得られるWT1蛋白からペプチドの合成まではできた。また、WT1に対するELISAの方法も確立しているので、おおむね順調に進展していると判断した。合成ペプチドに対する特異的な糖鎖のスクリーニングと、ナノ粒子の作成はまだ達成できていないが、技術的には大きな問題はないと予測てしている。
合成ペプチドのいずれかに特異的に結合する糖鎖をスクリーニングする。糖鎖のスクリーニングには、糖鎖を固定化したバイオデバイスである「シュガーチップ」を用いる。次に、この糖鎖と金粒子を結合させ、WT1特異的ナノ粒子(ナノ粒子)を完成させる。CCRF-CEMの培養液にシタラビンを添加し、細胞死を惹起した細胞培養液上清を、陽性コントロールとして用いる。陽性コントロールをナノ粒子を混合し、遠心し、ナノ粒子に結合したWT1蛋白を濃縮する。この濃縮された検体を用いて、ELISAを行い、WT1蛋白濃度を決定する方法を確立する。さらに、様々な割合の生細胞と死細胞を含む陽性コントロール検体の系列を作成して、これを用いて、ナノMRD法で測定し、ナノMRD法の検出感度を決定する。
初年度にペプチドの合成まで進展した。次の段階として、金粒子を用いて特異的なナノ粒子を作成する。粒子や反応液、細胞株などが必要であるが、ストックできない物品の購入を年度末に行うのをさけたために、次年度使用額が生じた。初年度の計画で完遂できなかったナノ粒子の作成を、新年度からとぎれなく行う。ナノ粒子作成以降は、計画通り研究を進めるので、予定通りの使用額となる。
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