研究概要 |
我々は筋特異的に発現するmicroRNA であるmiR-206 を用いた横紋筋肉腫の新規血清診断法を開発した。これは、腫瘍に発現しているmicroRNA が、腫瘍から分泌され、循環血中に移行することを利用したものである。さらに、転移例では限局例に比べて、腫瘍特異的microRNA が多量に血中に存在することが判明した。我々は、転移例血中に増加しているmicroRNA は原発巣より放出されて、血液を介して、転移巣形成の促進に寄与するのではないかと仮定して、転移例と限局例の血清でのmicroRNA の発現プロファイルの違いを解析し、転移例で発現の増加しているmicroRNA を同定中である。本研究では、これらのmicroRNA について、分子生物学的機能解析、予後との相関の解析を行い、転移性横紋筋肉腫の治療戦略の構築を行うことを目的とする。 平成25年度は、転移例において血清中で高発現しているmicroRNAの検索を行った。まず、13の血清検体を用いて、PCRアレイによる発現解析を行い、次に、24の血清検体を用いて、validationを行った。この結果、複数のmicroRNA(miR-532-5p, -30d, -382, -660, -335, -500*, -362-5p, -182, -206) の発現が亢進していることが明らかとなった。これらのmicroRNAの中には、他の癌腫で転移を促進することが報告されているものが含まれる。 今後、これらのmicroRNAの機能解析により、横紋筋肉腫の転移メカニズムに関する新たな知見が得られると考えられる。
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