研究課題
【目的】iPS細胞技術を用いて川崎病の病態を模倣する新規試験管内血管モデルを確立し、ガンマグロブリン療法(IVIG)不応の病態を解明する。【方法】川崎病患者IVIG反応例2例およびIVIG不応例2例から皮膚線維芽細胞あるいは末梢血T細胞を採取し、エピソーマルベクターを用いて初期化6因子を導入しiPS細胞を作製した。樹立したiPS細胞から血管内皮細胞(ECs)への分化誘導は既報のプロトコールを用いた。マイクロアレイを用いて、誘導したECsの遺伝子発現解析を行った。【結果】マイクロアレイ解析では、健常コントロール由来ECs 7例(健常コントロール群)、IVIG反応例由来ECs 2例(IVIG responder群)、IVIG不応例由来ECs 2例(IVIG non-responder群)を対象とし、健常コントロール群 対 川崎病4例(平均)、健常コントロール群 対 IVIG non-responder群、IVIG responder群 対 IVIG non-responder群で比較検討した。gene ontology(GO)解析では、白血球の動員や遊走に関連する Gene XがIVIG responder群に比較してIVIG non-responder群で有意に高発現であることが示された。主成分分析(PCA解析)では、健常コントロール群、IVIG responder群、IVIG non-responder群とそれぞれ独立した分布を示しており、3群とも異なった遺伝子発現の特徴を有していた。Gene Set Enrichment Analysis(GSEA)解析では、過去のデータベースに登録されているIL-6関連遺伝子群がIVIG responder群に比較してIVIG non-responder群において高発現であることが示された。【結論】IVIG不応川崎病症例において、血清IL-6の上昇は既に報告されていることから、血管内皮細胞におけるIL-6関連遺伝子群の発現の上昇は、IVIG不応の病態に関連している可能性が示唆された。また、白血球の動員や遊走に関連しているGene Xは、IVIG不応の病態や川崎病の重症度に関連している可能性が示唆された。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (2件)
International Journal of Pediatrics & Neonatal Care
巻: 1 ページ: 電子版