研究課題/領域番号 |
25461606
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
森本 哲 自治医科大学, 医学部, 教授 (30326227)
|
研究分担者 |
川原 勇太 自治医科大学, 医学部, 助教 (10570385)
塩田 曜子 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, 医員 (30307532)
早瀬 朋美 自治医科大学, 医学部, 助教 (50433587)
八木 正樹 自治医科大学, 医学部, 臨床助教 (60570398)
新島 瞳(松本瞳) 自治医科大学, 医学部, 助教 (70598937)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ランゲルハンス細胞組織球症 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)における多臓器(MS)型と単一臓器(SS)型の病態の違いを、ケモカインから解析することである。LCHは、未熟樹状細胞の形質を持つLCH細胞の増殖と種々の炎症細胞の浸潤により組織破壊が生じる疾患である。SS型の予後は良好であるがMS型は不良である。SS 型がMS 型に移行することはほとんどなく、その病像は全く異なる。我々は、MS 型ではSS 型に比べ種々の血清中ケモカインが有意に高いことを見出した。よって、ケモカインはMS 型とSS 型を分ける鍵になる因子ではないかと推測した。ケモカインは、autocrine またはparacrine で作用し、免疫細胞の誘引と活性化に関わる。LCHとケモカインの関連を示唆するいくつかの報告があるが、SS 型とMS 型の病型の違いに着目して、病変部位のケモカインやその受容体の発現を比較した報告はない。そこで、MS 型ではSS 型に比べ、病変部位でのケモカイン産生とケモカイン受容体発現の亢進があり、ケモカインストームが生じ、これが多臓器への進展と予後不良に関連していること、その背景にこれらのタンパクをコードする遺伝子に機能亢進型多型が存在するという仮説を立てた。 MS 型とSS 型の患者の血清中のサイトカイン・ケモカインをさらに検討したところ、MS型はSS型に比べ、IL-3, IL-6, IL-8, IL-18, M-CSF, HGF, CCL2, CXCL1, CXCL9が有意に高値で、多変量解析ではM-CSFおよびCCL2が有意に高値であった。また、リスク臓器浸潤のあるMS型では、IL-18およびosteopontinが有意に高値であることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LCH患者のゲノムDNAの収集数が、遺伝子多型性解析により有意差が得られる数に達していないため。
|
今後の研究の推進方策 |
MS型とSS型の間でM-CSFとCCL2に、リスク臓器浸潤陽性MS型とそれ以外のLCHの間でIL-18およびosteopontinに、遺伝子多型に差があるかを検討する。これらの遺伝子多型を解析するため、現在、LCH患者の末梢血検体を収集し、DNA抽出を行い、多型性解析をすすめている。現在、有意差を得るに十分なゲノムDNAの検体が確保できていないが、多数のLCH患者の診療を行っている成育医療研究センターからの検体収集を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ゲノムDNAの検体数が十分な数に達していないため、遺伝子多型性解析がまだ進んでいないため。
|
次年度使用額の使用計画 |
ゲノムDNA検体の収集をすすめ、患者血清で有意に高値であったサイトカイン、ケモカインについて、遺伝子多型性解析を行う。
|