研究課題
ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)は、未熟樹状細胞の形質を持つLCH細胞の腫瘍性増殖と種々の炎症細胞の浸潤により組織破壊が生じる疾患である。多臓器(MS)型と単一臓器(SS)型の病像は全く異なる。MS型の予後は不良であるがSS型は良好である。SS 型がMS 型に進展することはほとんどない。ケモカイン過剰産生によりLCHは多臓器へ浸潤し予後不良となり、その背景にケモカインをコードする遺伝子の機能亢進型多型が存在するという仮説を立てた。MS 型とSS 型の患者の血清中のサイトカイン・ケモカインを検討したところ、MS型ではSS型に比べM-CSFやCCL2などが、MS型の中でリスク臓器浸潤(RO)陽性例ではRO陰性例に比べ、IL-18およびosteopontin(OPN)が有意に高値であることが明らかとなった。OPNは炎症性サイトカインとケモカインの両者の働きをし、未熟樹状細胞から破骨細胞様巨細胞への分化に必須の因子である。そこで、対象をosteopontinに絞り、その遺伝子多型を解析した。LCH患者48名(性別:男26例/女22例、診断時年齢:中央値2.5歳(幅0.0~66歳)、病型:MS型RO(+)8例/MS型RO(-)21例/SS型多発骨12例/SS型単独骨7例)から同意を得て、末梢血からDNAを抽出した。TaqMan.AN. SNP Genotyping Assays (Applied Biosystems)を用いて、炎症性疾患や悪性腫瘍との関連が報告されているOPNのrs9138、rs4754、rs11730582、rs1126772、rs1126616多型を解析し、アレル頻度をカイ二乗検定を用い比較した。LCH患者と対照者、診断時年齢2歳未満と2歳以上、MS型とSS型、MS-RO(+)とMS-RO(-)を比較したが、いずれもアレル頻度に有意な差を見出せなかった。LCHの病型とOPNの遺伝子多型の関連性は低いと考えられた。
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