先天性溶血性貧血(CHA)の病型診断は治療法の選択に重要である。本研究では原因不明のCHA50例の全エクソーム解析を実施し、新規病因遺伝子としてATP11Cを同定した。ATP11Cの単一塩基アミノ酸置換は赤血球膜脂質二重層を介したホスファチジルセリン(PS)の能動輸送障害を引き起こし、赤血球表面に露出したPSが貪食目印分子となり、血管外溶血の原因となる。 脱水型遺伝性有口赤血球症(DHSt)の二例にPIEZO1遺伝子変異を同定した。DHStは術後重症血栓症を併発することから脾摘術が禁忌である。今後、PIEZO1異常症の遺伝子検査により、CHA症例の脾摘術適応を確実に診断することが可能になった。
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