研究課題/領域番号 |
25461612
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
広田 朝光 独立行政法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 研究員 (50435674)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アレルギー疾患 / 遺伝子多型 / 関連遺伝子 |
研究概要 |
アトピー性皮膚炎は、近年、国内外問わずその罹患率が増加しつつあり、既存の治療法ではコントロールが困難な難治症例も存在し、より詳細な科学的な病態解明が期待される疾患である。本研究は、アトピー性皮膚炎のゲノムワイド関連解析により同定された新規8遺伝子領域からのアトピー性皮膚炎関連遺伝子の絞込みを試みた。また、同じアレルギー疾患である食物アレルギー、気管支喘息において、新規8遺伝子領域について症例対照関連解析を行うことにより、アレルギー疾患に共通する遺伝要因についても検討を行った。 1. 食物アレルギー患者群(以下、FA群)の検体収集: 遺伝学的な解析の信頼性をより高めるためサンプルサイズの増加を行った。既に収集済みである第一集団(FA群を約600検体、対照群を約1000検体)と独立な第二集団のFA群(約300検体)を収集し、ゲノム抽出を行った。このことにより、気管支喘息、食物アレルギーの両方の疾患において、疾患関連性の再現を確認することが可能となった。 2. アトピー性皮膚炎のゲノムワイド関連解析により同定された新規8遺伝子領域の1つであるGLB1遺伝子領域についての関連遺伝子の絞込みを試みた。最も強い関連のあったSNPはGLB1遺伝子のイントロン領域に存在するが、GLB1遺伝子とアトピー性皮膚炎の病態機構は不明である。興味深いことに、この領域はアトピー性皮膚炎の強力な候補遺伝子であるCCR4遺伝子の発現を調節している領域(eQTL)であることが公共のデータベースから確認することができた。実際に最も強い関連のあったSNPの近傍の領域において、培養細胞を用いた検討でヒストンのアセチル化、メチル化が高度に起こっていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画通り、より信頼性が高い関連解析を行うためのサンプル収集がすすみ、また、アトピー性皮膚炎のゲノムワイド関連解析により同定された新規8遺伝子領域について、eQTLの情報を公共データベースから取得することができ、この遺伝子領域の関連遺伝子の絞込みが大きく進展した。また、新規8遺伝子領域について、その他のアレルギー疾患(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー)における関連解析も進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も計画に従い、サンプル収集の継続と、GLB1遺伝子領域の関連遺伝子の絞込みについて進める。また、アレルギー疾患に共通する遺伝要因の探索のためのその他のアレルギー疾患(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー)における関連解析については、平成26年度中に完了させる予定である。
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