研究実績の概要 |
本研究は、ゲノムワイド関連解析(GWAS)によりアトピー性皮膚炎(AD)の関連領域として同定された新規8ゲノム領域に対し、候補遺伝子の絞り込みと、その他のアレルギー疾患との易罹患性を検討することを目的としている。 1. 新規8ゲノム領域からの関連遺伝子の絞込み GWASにより同定されたADの新規関連領域である GLB1遺伝子領域(3p21.33)についての関連遺伝子の絞込みを実施した。GWASでの関連のピークはGLB遺伝子のイントロン領域に存在しているが、この領域が公共データベースの情報から近傍のCCR4遺伝子の発現を調節している領域である可能性が示唆されている(eQTL)。初年度、次年度で確認された、このゲノム領域がヒストンのメチル化(H3K4me1)、アセチル化(H3K27ac)が高度になされていること(ChIP: Chromatin Immunoprecipitation)、このゲノム領域がCCR4遺伝子のプロモーター領域と核内において3次元的に近接していること(3C assay: Chromosome Conformation Capture assay)を、最終年度では、アレルギー疾患の病態により深く関連すると考えられる分化させたT細胞(Th2)においても同様な結果を示すことを確認した。 2. AD以外のアレルギー疾患での関連解析 ADに関連する新規8ゲノム領域に対して、スギ花粉症群(約940検体)と対照群(約510検体)を用いて関連解析を行った。さらにスギ花粉症群は、ダニ抗原陽性、陰性により患者群を層別化し検討を行った。各遺伝様式(multiplicative, dominant, recessive)について、スギ花粉症群および、ダニ抗原による層別化解析を行ったが、多重比較検定の補正後、有意な関連は認められなかった。
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