研究課題/領域番号 |
25461619
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
杉山 剛 山梨大学, 総合研究部, 助教 (30436878)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 睡眠呼吸障害 / 睡眠時無呼吸症候群 / 体組成変化 / 未就学児 / 小児 / 肥満関連サイトカイン |
研究実績の概要 |
アデノイド口蓋扁桃肥大が原因となる未就学の閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者が痩せ体型となるメカニズムについて以下の検討を行った。 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)が疑われる未就学児に対し入院の上type3のPSGを行いAHI≧5であった例に対し治療(アデノイド口蓋扁桃摘出術)を行い、治療後3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月後に身長、体重を測定しその変化を追った。治療後3ヶ月で有意な体重(BMIパーセンタイル)増加が認められたが、身長SDスコアは治療後3ヶ月では有意差を認めず、治療12ヶ月後に有意な増加を認めた。両者の改善にはタイムラグがあり、痩せの改善が有意である可能性が示された。 また、閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者(OSAS)が疑われる未就学児に対し入院の上type3のPSGを行い、0≦AHI<3をnon OSAS群、3≦AHI<10をmild OSASO群、10≦AHIをsevere OSAS群とし。クレアチニン補正した早朝第一尿中コルチゾール(uCor/Crea)、早朝第一血圧の測定をそれぞれの群間で比較した。無呼吸低呼吸指数(AHI)>10のsevere OSAS群ではuCor/Creaおよび、起床時の収縮期血圧が非OSAS群に比べ有意に高かった。また、尿中CorとAHIとの間には相関関係がみられた。 以上の結果よりOSAS群ではOSASに伴う中途覚醒、間欠的低酸素、呼吸性アシドーシスなどによりコルチゾール分泌をはじめとする視床下部-下垂体-副腎皮質系が賦活化され、成長障害、特に体重増加が抑制されている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アデノイド口蓋扁桃肥大(ATH)が原因となる未就学の閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者は治療(Adenotonsillectomy)前後で身長SDスコアに有意差は認めないが、BMIパーセンタイルは治療後3ヶ月で有意な増加を認めることを明らかにした(日本小児耳鼻咽喉科学会雑誌)。また、未就学のOSAS患者における早朝第一尿中コルチゾール値が高値であること(第47回日本小児呼吸器学会)、起床時血圧が高いこと(第52回睡眠呼吸障害研究会)を明らかにし、視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA系)および交感神経系の亢進が未就学のOSAS患者における成長障害に関与している可能性を現在検討している。
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今後の研究の推進方策 |
HPA系亢進以外の成長障害メカニズムとして食欲低下の可能性として血清レプチン値を、成長ホルモン系分泌低下の可能性として血清IGF-1値をOSAS群と非OSAS群間及びOSAS群における治療前後で比較検討することを計画している。また、本申請研究により得られた知見を学会、論文を通じて公表していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に執筆した論文の別冊代としての使用を予定していたが別冊の発行が次年度となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
論文別冊印刷代として使用する予定。
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