研究課題/領域番号 |
25461620
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡田 陽子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (30457022)
|
研究分担者 |
小垣 滋豊 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00311754)
高橋 邦彦 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (10610230)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | NPR-B / CNP / cyclic GMP / 心不全 |
研究概要 |
① (in vitro) 新生児ラット初代培養心筋細胞を用い、アデノウイルスベクターを用いてGFP(コントロール)、野生型NPR-B、機能獲得変異型NPR-Bを発現させたところ、機能獲得変異型NPR-B強発現心筋細胞において著明な細胞内cyclic GMP濃度の上昇を認めた。これらの心筋細胞に対し、AngiotensinII、Endothelin-1、Isoproterenolを加え、心筋細胞の肥大の程度を評価した。その結果、いずれの肥大誘導刺激においても、機能獲得変異型NPR-Bを発現させた心筋細胞で、細胞肥大の抑制、肥大化シグナルであるANP、BNP、β-MHCの発現抑制が確認された。 次に、ラット心線維芽細胞を用い、GFP、野生型NPR-B、変異型NPR-Bそれぞれを発現させたところ、機能獲得変異型NPR-B強発現心線維芽細胞において、同様に著明な細胞内cyclic GMP濃度の上昇を認めた。これらの心筋線維芽細胞に対し、TGF-β1を加え、心線維芽細胞の線維化の程度を評価した。その結果、機能獲得変異型NPR-Bを発現させた心線維芽細胞で、線維化シグナルであるCollagen-1の発現抑制を確認した。 今回我々が発見した機能獲得変異型NPR-Bの遺伝子導入により、in vitroにおいて心筋細胞および心線維芽細胞の双方で心筋細胞肥大抑制効果、間質線維化抑制効果が得られることを確認した。 ② (in vivo) 10週齢のオスのマウスの頸部に、皮下埋め込み型浸透圧ポンプを埋め込み、Isoproterenol 30 mg/kg/day を7日間持続投与する事により、心不全モデルラットを作成した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に予定していたin vitroの実験については、おおむね予定通り終了し、期待される結果を得ることができている。今後、細胞内cyclic GMP濃度を上昇させる既存薬剤(PDE5阻害薬:sildenafil)との比較実験を行う。 in vivoにおいても、心不全モデルマウスの作製は既に完了しており、今後ウイルスベクターを用いた遺伝子導入、導入遺伝子による心不全抑制・治療効果について検討して行く予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
① (in vitro) 我々が発見した機能獲得変異型NPR-Bによる心筋肥大抑制・線維化抑制効果と、細胞内cyclic GMP濃度を上昇させる既存薬剤(PDE5阻害薬:Sildenafil)や、NPR-BのリガンドであるCNPの効果を比較検討することにより、細胞内cGMP濃度上昇の程度と、心筋肥大抑制・線維化抑制効果との関係を明らかにする。 ② (in vivo) 9週齢のオスのマウスにアデノ随伴ウイルス9ベクター(日本医科大学から提供)を経静脈的に投与し、一週間飼育することで、心筋細胞、心線維芽細胞にGFPコントロール、野生型NPR-B、機能獲得変異型NPR-Bを発現させる。10週齢の時点で心不全モデル群(Isoproterenol持続投与群)、コントロール群(生理食塩水持続投与群)に分け、それぞれIsoproterenol(30mg/kg/day)、生理食塩水を7 日間持続投与する。 11週齢で心エコーによる心肥大・心収縮能の評価、カテーテルによる血行動態評価(左右心房・心室圧、圧波形など)や、心筋肥大の程度、心線維化の程度、TUNEL染色によるApoptosisの評価などの組織学的検討により心不全に対する治療効果を検討する。また並行して既存薬剤(sildenafil, CNP)を10週齢から1週間投与した群との治療効果の比較も行う。 in vivo、in vitroともに申請した内容通りに実験を進めて行く予定である。
|