研究課題/領域番号 |
25461625
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
伊藤 孝一 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00444977)
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研究分担者 |
杉浦 時雄 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10381881)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | B型肝炎 / 小児 |
研究概要 |
本邦ではHBV母子感染予防策としてHBIGとHBワクチンが投与されている。しかし、母子感染防止処置を完遂しても5%程度は母子感染が成立する。一方、Occult HBV感染については十分な調査がなされていない。本研究の目的はHBVキャリアーの母から出生した児におけるOccult HBV感染の頻度を明らかにすることである。 本研究では、2年間(平成24年度と25年度)を血液検体集積期間と位置づけている。平成24年度においては、後方視的検討として名古屋市立大学病院における小児Occult HBV感染の実態調査を行った。対象は当院にてHBV母子感染予防または父子感染予防を目的に、生後2,3,5ヶ月にHBVワクチンが接種され、2004年1月以降に当院にてHBs抗体価および、HBc抗体価が測定された小児である。対象は62例(男41 女21)。全例において、生後6カ月以降にHBs抗体の陽性が確認された。1例(1.6%)において、HBc抗体の持続陽性が確認された。該当症例のHBs抗体価およびHBc抗体抑制率を以下に示す。1歳時HBs抗体価 487 IU/ml HBc抗体抑制率 32.7%、2歳時HBs抗体価 114 IU/ml HBc抗体抑制率 28.0%、3歳時HBs抗体価 55.7 IU/ml HBc抗体抑制率 31.3%、4歳時HBs抗体価 19.9 IU/ml HBc抗体抑制率 33.6%、5歳時HBs抗体価 500 IU/ml HBc抗体抑制率 95.5%、6歳時HBs抗体価 359 IU/ml HBc抗体抑制率 89.5%。該当症例はHBs抗原は陰性であるため、Occult HBV感染に該当する。HBV母子感染予防実施例においてOccult HBV感染例が少ない頻度(1.6%)で存在することが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本邦におけるHBV母子感染予防実施例におけるOccult HBV感染については十分な調査がなされておらず、その実態が不明であった。今回の調査において、小児のOccult HBV感染が少ない頻度(1.6%)で存在することを初めて明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度も血液検体集積期間と位置づけ、HBV母子感染予防実施例の血液検体を収集する。血清からDNAを抽出し、HBV S領域、X領域、コア領域に設定した特異度の高いPCR用Primerを用い、Real-time PCR法にてHBV-DNAの検出を行う。直接シークエンス法により、HBV DNAの塩基配列を決定し、検出されたウイルスの遺伝子型を同定する。母子のウイルス株の塩基配列を比較検討する。分子系統樹を作成しウイルスの由来を推定するとともに、HBV DNAのPre Core領域、Core Promoter領域の遺伝子変異の有無などのウイルス要因のデータ収集を行う。HBV母子感染に関連する宿主側の遺伝子多型についてReal-time PCR法を用いて解析する。必要に応じてダイレクトシークエンス法を併用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
Real-time PCR装置の更新を予定していたが、購入予定機種が次年度以降にバージョンアップされるため、購入時期を遅らせることとした。本年度は現在使用中のReal-time PCR装置を継続使用することとした。 現在使用中のReal-time PCR装置は旧式であり、まれに不具合が生じることもあるため、次年度には更新が必要である。
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