研究課題
【研究の背景と目的】Occult HBV感染は血清中にHBs抗原が陰性であるにも関わらず、肝組織中にHBVが持続感染している状態のことをいい、肝組織または血清中から低濃度のHBV DNAが検出されることで診断される。母子感染によるoccult HBV感染については十分な調査がなされていない。Real-Time PCR法は十分な感度があり、低濃度のHBVを保有するOccult HBVキャリアーを見つけることが可能である。本研究の目的はHBVキャリアーの母から出生した小児におけるOccult HBV感染の頻度を明らかにすることである。【方法】対象はHBVキャリアー母から出生し、適切な母子感染予防処置(HBグロブリンとHBワクチン)が成され、2004 年~2015年に名古屋市立大学病院小児科にて血液検査が実施され、保護者の同意のもとに血清が保存された児。HBs抗原陽性例は除外。①HBc抗体陽性者の抽出:HBc抗体陽性者を診療録を用いて調査した。②HBV-DNA解析:HBc抗体陽性者の血清からDNAを抽出し、TaqMan PCR法およびHemi-Nested PCR法を行った。電気泳動で増幅を確認後、cycle sequence 反応を行い、sequencer で解析した。【結果】①HBc抗体陽性者の頻度:対象67例(男41 女26)のうち、HBc抗体陽性者は45例(67%;男29 女16)。HBc抗体陽性の定義は抑制率50%以上またはC.O.I 1.0以上とした。HBc抗体価は経年的に低下する傾向を認めたが、1例において、5歳時に再上昇がみられた。②HBV-DNA解析HBc抗体陽性者のうち、抑制率90%以上またはC.O.I 10.0以上または増加傾向を示す26例(男15 女11)を対象にHBVPCRを実施した。11例(42%)でHBVDNAが検出された。DNA量が微量のため、現在のところシークエンスには至ってない。
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