研究課題/領域番号 |
25461626
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
丹羽 陽子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60623618)
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研究分担者 |
岡本 亜希子(浜岡亜希子) 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (00405250) [辞退]
中村 明宏 京都府立医科大学, 医学部, 研究員 (50313854)
浜岡 建城 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60189602)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 川崎病 / 動脈硬化 / 平滑筋細胞 |
研究実績の概要 |
近年、川崎病と動脈硬化の関連を示唆する報告が散見されるが、これまでに川崎病遠隔期症例での粥状動脈硬化の存在が確認されておらず、早発動脈硬化発症の危険性について未だコンセンサスは得られていない。 動脈硬化の発症・進展には、何らかの原因により血管内皮が傷害され凝集してきた血小板や内皮細胞などから放出された様々な因子により中膜の平滑筋細胞が活性化されて分泌型となり、内膜層への遊走や様々な生物学的機能を獲得することが重要である。本研究では、川崎病血管障害が動脈硬化への進展機序における中膜平滑筋細胞の関与を明らかにする目的で、馬血清による川崎病類似血管炎モデルウサギを作製し、平滑筋細胞の動態について免疫組織学的手法を用いて検討した。 急性期における冠動脈には、全層性に細胞増殖性変化が認められ、VACAM-1やNF-kBを発現し活性化した平滑筋細胞(平滑筋様細胞)やマクロファージによる内膜層への遊走が確認された。遠隔期の病変部においてマクロファージは認めらず炎症は消退したものと思われるが、平滑筋様細胞の浸潤は依然として認められ、血管リモデリングが進行していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
川崎病類似血管炎モデルにおいて、遠隔期の内膜肥厚病変には平滑筋様細胞および細胞外マトリックスであるプロテオグリカンの増加が確認され、動脈硬化への進展機序において平滑筋細胞が深く関与している可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
血管内膜へ遊走し集積している平滑筋細胞には、マクロファージコロニー刺激因子(Macrophage-Colony Stimulating Factor: M-CSF) 受容体が発現していることが報告されている。M-CSFは、単球/マクロファージ系細胞に作用して、その分化・成熟を促進する因子であり、血管壁の恒常性に重要な役割を果たしているが、近年では、炎症や免疫応答との関与も明らかにされてきている。このM-CSFの作用によって平滑筋細胞はマクロファージ様細胞に分化し、内膜に浸潤したマクロファージと共に変性した低比重リポ蛋白などの各種変性脂質を貪食して泡沫化する。さらには、プロテオグリカンといった細胞外マトリックスを合成・分泌することで内膜を肥厚させ、動脈硬化が進展していくと考えられている。そこで、内膜肥厚病変における平滑筋様細胞のM-CSF受容体発現について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
川崎病類似血管炎モデル動物を追加作製したが、実験に使用可能な検体を必要数得ることができなかった。 無駄を省くために、必要な試薬類の購入を延期した。
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次年度使用額の使用計画 |
さらに追加でモデル動物を作製して必要な検体を得ることができ、年度末から既に次の実験を開始している。引き続き必要な試薬類の購入に充てる予定である。
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