6歳以上の先天性心疾患患児38名において、造影剤投与前後で腎障害マーカーを検討し、心疾患手術後の急性腎障害(AKI)既往群(11名)とAKI非既往群(27名)について比較した。AKI既往者では、明らかな腎機能低下や尿蛋白の出現はみられなかったものの、尿中アルブミンの上昇が認められ、造影剤投与後の尿中L-FABP(L型脂肪酸結合蛋白)および尿中β2-ミクログロブリンの上昇もAKI非既往者と比べてより顕著であった。これらの結果より、AKI既往者では潜在的な尿細管予備能の低下や糸球体障害が存在すると考えられ、薬剤や虚血などのストレスが加わることにより慢性腎臓病(CKD)への進展要因となり得る。
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