研究概要 |
本研究では、川崎病において、1)川崎病急性期(入院時)患児の口腔・咽頭ぬぐい液を採取し、液体培地で増菌培養し、増菌した細菌群のDNAおよび同時に増殖し得るphage DNAを抽出し、SAg遺伝子の存在の有無をPCRで検討する。SAg遺伝子の存在が確認された場合、その遺伝子を保有する細菌種を同定する。2) GAS以外の正常菌叢と考えられている常在菌の中に、GAS由来のSAg遺伝子を保有する菌の有無を検討し、保有する細菌種が存在する場合、その細菌種を同定し、川崎病発症に果す役割を明らかにすることが目的である。 本年度は、川崎病診断基準を満たして当院に入院した川崎病患児29例から、入院時時に咽頭ぬぐい液を採取して、液体培地(Brain-Heart Infusion Broth)を用いてovernightで増菌培養し、DNA Mini Kit (QIAGEN)を用いて全DNAを抽出した。その内、9症例例からのDNAを用いて、Borek A.et al.(Polish Journal of Microbiology)の方法によって11種類のスーパー抗原遺伝子(SPe-L, SPe-K, SPe-M, SPe-C, SmeZ, SPeI, ssa, SPeA. SPeH, SPeG, SPeJ)断片についてPCRで検討した。その結果、5例からSAg遺伝子断片が検出された。内訳は、SPeGが2例、SPeLが2例、SPeIが2例、SPeKが1例であった。 現在、これらのSAgについてシークエンスで確認中である。
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