研究課題
基盤研究(C)
駆出率の保たれた心不全(HFpEF)は、駆出率の低下した心不全(SHF)と同様の臨床症状を呈し、臨床上重要であるにも関わらず、小児期においては未だ疾患概念が確立されておらず、発症予測・評価法・治療法・予後の詳細は不明であった。小児期のHFpEF は、一歳前後までの幼少児の先天性心疾患手術後の一部にみられた。水分制限が強く、体重・身長ともに小さく、成長発達障害が示唆された。HFpEF は年少児に多いにも関わらず、より年長のSHF よりも収縮期血圧が高かった。HFpEF を来たす病態は、(1)左室圧負荷疾患(大動脈縮窄・離断)、(2)左室に容量負荷のかかりにくく、手術前に左室が小さい疾患(ファロー四徴、総肺静脈還流異常)、 (3)手術中および手術前の低酸素・虚血イベントのあった児、に大別された。HFpEFでは、アルドステロンのナトリウム利尿ペプチドに対するoverbalanceが存在し、SHFと異なる特徴をもつことが、さらに裏付けられた。HFpEFの弛緩時定数はごく軽度の増加(すなわち弛緩速度の低下)であった。最小および拡張末期血圧はSHFほど高くなかったが、スティフネス(心室の硬さ)は同等に高かった。引き続き、①小児におけるHFpEF発症の予測因子を確立し、②アルドステロン・ナトリウム利尿ペプチドの経時変化と治療の関係、③病態の詳細、④予後との関連を明らかにすべく検討を続けていく。
3: やや遅れている
症例数が想定より少なめに推移しているが、詳細な解析を進めることにエフォートを注ぐことで全体として進捗できている。
対象症例を積み重ね、データ収集を行う。詳細な心血行動態につき、解析を進める。拡張障害を定量化し、二心室循環と単心室循環における共通点・相違点を明らかにする。過去の症例についての後方視的な解析も併せ行っていく。
研究費を効率的に使用し残額が発生した。物品費の他、研究発表のための学会出張や、論文の英文校正に使用する計画である。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 12件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)
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