研究課題/領域番号 |
25461630
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
増谷 聡 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (10316739)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 小児 / 心不全 / 駆出率 / 拡張 / 心機能 |
研究実績の概要 |
駆出率の保たれた心不全(HFpEF)は、駆出率の低下した心不全(SHF)と同様の臨床症状を呈し、臨床上重要であるにも関わらず、小児期においては未だ疾患概念が確立されておらず、発症予測・評価法・治療法・予後の詳細は不明であった。 小児期HFpEFは、一歳前を中心とした乳幼児の先天性心疾患手術後の一部にみられた。水分制限が強く、体重・身長が小さく、成長発達障害が示唆された。HFpEFは年少児に多いにも関わらず、より年長のSHFより収縮期血圧が高かった。HFpEFを来す病態は、(1)左室圧負荷疾患(大動脈縮窄・離断)、(2)術前より左室が小さい疾患(ファロー四徴症、総肺静脈還流異常症)、(3)低酸素・虚血イベントに大別された。 HFpEFでは、アルドステロンのナトリウム利尿ペプチドに対するoverbalanceが存在し、SHFと異なる特徴がさらに裏付けられた。弛緩異常は軽度で、SHFよりも軽度で、左室最小血圧および拡張末期圧の増加もSHFよりは少なかった。左室スティフネス(硬さ)はSHFと同様に高かった。 さらに、ドブタミンに対する予備能が、コントロールと比較して乏しいことが示唆された。 引き続き、HFpEF発症予測因子、アルドステロン、ナトリウム利尿ペプチドの経時変化と治療の関係、病態の詳細、予後との関連を検討する。 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例数が想定より少なめである。詳細な解析を進めることで、全体として進捗できている。
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今後の研究の推進方策 |
対象症例をさらに積み重ね、データ収集を継続する。過去の症例についての後方視的な検討も継続する。拡張障害を定量化し、二心室循環と単心室循環の共通点、相違点を明らかにする。特に心予備能について、小児HFpEFの挙動の詳細を明らかにする。単心室循環では右室性・左室性の相違を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費を効率的に使用し、残額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費の他、研究発表のための学会出張や、論文の英文校正、解析のためのソフトウェアの購入などに使用する計画である。
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