研究課題/領域番号 |
25461634
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
金子 一成 関西医科大学, 医学部, 教授 (00214453)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 微少変化型ネフローゼ症候群 / ポドサイト / CD80分子 / PANラット / イグラチモド / 抗リウマチ薬 |
研究実績の概要 |
微少変化型ネフローゼ症候群の病因として、近年、腎糸球体上皮細飽(Podocyte)の機能的・構造的異常が注目されている。すなわちウイルスRNAなどがPodocyte表面のToll様受容体を介して細飽表面に共刺激分子CD80抗原を発現させ、リンパ球を活性化するとともに、細胞質のシナプトポジンが減少しアクチン細胞骨格が変形する結果、バリア機能が損なわれ大量の血漿蛋白が持続的に尿中に漏出する、という考え方である。 本研究の目的は、微少変化型ネフローゼ症候群のモデル動物を用いて、Podocyteを標的とした特異療法を探求することである。 平成26年度は、主にヒト培養腎糸球体上皮細飽(以下、培養Podocyte)を用いた検討を行った。すなわち、培養Podocyteの培養液に、微少変化型ネフローゼ症候群と同様の病的変化をもたらすことが知られているpuromycin aminonucleoside(PAN)を添加し、CD80のmRNAの発現量をReal Time PCRで確認し、その発現量がPAN無添加時と比較して増加することを確認した。さらに、炎症担当細胞に対して抑制効果を発揮し、抗リウマチ薬としてすでに臨床利用されているイグラチモドをPANで刺激した培養Podocyteに添加した場合のCD80のmRNA発現量に及ぼす効果についても検討した。その結果、イグラチモドの添加によってCD80のmRNA発現は抑制された。このことは、抗リウマチ薬であるイグラチモドが、微少変化型ネフローゼ症候群の治療に利用できる可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、微少変化型ネフローゼ症候群ラットにおいて、ポドサイトのCD80発現量の定量的評価、および各種抗リウマチ薬の及ぼす影響を検討する予定であったが、なかなか微少変化型ネフローゼ症候群ラットにおいては、ポドサイトのCD80発現亢進という変化が見られず、培養ポドサイトに切り替えた。また抗リウマチ薬も現在の所、イグラチモドのみで実験成果が得られたが、当初の予定であるアバタセプトでは、再現性のある結果が得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は再度、微少変化型ネフローゼ症候群ラットでのCD80の発現亢進を確認する実験を行いたい。そのためには微少変化型ネフローゼ症候群ラットの作製を従来のPAN投与による方法のみならず、アドリアマイシンの投与による方法も試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に納品されなかった物品があったため。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬などを購入する予定である。
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