新生仔豚に低酸素負荷をかけ、低酸素性虚血性脳症(HIE)のモデルとし、臓器障害の評価を行った。当初の計画では、HIE発症時に併発する腸管の虚血性障害を観察する予定であったが、本実験の負荷レベルでは明らかな腸管ダメージは現れなかった。しかし腸管だけでなく、その他の臓器についても病理組織学的評価を行ったところ、肝臓に障害が出現していることが明らかになった。(初年度の実績に報告)
そこでHIE発症時の新生仔豚の肝臓を対象として実験を継続した。コントロール、HIE群、低体温治療群の3群にわけ、病理組織学的評価を行ったところ、低酸素負荷をかけた新生仔豚の肝臓には、門脈領域を中心に微小脂肪滴の蓄積が有意に多く認められた。さらに低体温治療を併用すると門脈領域に蓄積した微小脂肪滴が有意に減少することが明らかとなった。この現象はこれまで報告がなく、新しい発見と考えられる。(次年度の実績に報告)
以上の結果を、日本周産期新生児医学会総会、肝病態生理研究会で学会発表を行い、現在英文として投稿中である(最終年度)
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