研究課題
我々はBeckwith-Wiedemann症候群(BWS)の診断基準を満たし、11番染色体pUPD(Paternal Uniparental Disomy)症例36例の末梢血DNAを解析し、Segmental pUPD25例と、Whole 11 chromosome pUPD1例、ゲノムワイド父性ダイソミー(GWPUPD: Genome-Wide Paternal Uniparental Disomy)7例を見出した。Segmental pUPDと比較してGWPUPDは、腫瘍発生が高率であること、精神運動発達遅滞や心奇形を合併する臨床的特徴を、今回初めて報告した。GWPUPD4症例(BWS045、bwsh21-002、051、078)を対象に、分子病態を明らかにするため、本研究を行った。SOLiD5500を用いた全エクソーム解析では、BWS045で53の遺伝子で常染色体劣性遺伝子異常が疑われた。その中でOMIMに登録されている10疾患について、遺伝子異常の予測解析を行い2つの遺伝子が高リスクと考えられた。1つはシスチン尿症の責任遺伝子であり、本例の臨床診断と合致した。他3症例については、bwsh21-002では20遺伝子が抽出されたが、高リスクの遺伝子異常は認めなかった。bwsh21-051では0遺伝子、bwsh21-078では5遺伝子が抽出されたが、いずれも高リスクの遺伝子異常はなかった。今回解析したGWPUPD症例は、BWSの責任領域である11p15.5のKvDMR、H19DMRをはじめ、複数のインプリンティング領域のメチル化異常を認めた。また常染色体劣性遺伝子異常も複数の遺伝子でみられることが判明した。GWPUPDは、全ゲノム領域がモザイクのpUPDであることから、インプリンティング遺伝子、常染色体劣性遺伝子に影響を及ぼし、表現型が規定されることを明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
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