研究課題/領域番号 |
25461651
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
青山 峰芳 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (70363918)
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研究分担者 |
浅井 清文 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70212462)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エリスロポエチン / ミクログリア / 神経保護 / 細胞活性 |
研究実績の概要 |
エリスロポエチン(EPO)は主に腎臓で産生される造血作用ホルモンである。近年、EPO受容体(EPOR)が中枢神経で発現し、EPORを介したシグナルが神経保護効果を有することが報告された。申請者は、虚血低酸素状態においてアストロサイトから分泌されるEPOに注目し検索を進めてきた。これまでに細胞レベルの解析により、ニューロンとグリア間、グリアとグリア間のEPO-EPORシグナルを介したクロストークが細胞保護および分化に重要であることを明らかにした。本研究では、発達段階での中枢神経の障害時に脳内で誘導されるEPOがニューロンとグリアへ与える影響について検討する。この成果をもとに、虚血低酸素状態で脳内局所から分泌されるEPOを効果的に制御し脳内微小環境を改善することによる新規治療法の可能性を提示できる。 本年度は、昨年度に引き続きマウス細胞株であるBV2を用いて解析を行った。その結果、LPS刺激により、M1ミクログリアマーカーである炎症性サイトカインの発現誘導が確認され、同時にEPOを投与することで発現が抑制されることを確認した。さらに、蛍光ビーズの取り込み率を解析したところ、Lipopolysaccharide(LPS)刺激により取り込み率が上昇し、同時にEPOを投与することで低下することを確認した。さらに、6週齢の成体マウスの腹腔内にEPO製剤を投与し、LPS刺激によって活性化した脳内ミクログリアに与える影響について解析を行った。免疫組織染色を行い、ミクログリアの細胞マーカーであるIba1を蛍光染色することで形態変化を観察した。LPS刺激により脳内のミクログリアが静止型の形態から活性化型の形態に変化することを認めた。EPOを腹腔内に投与することで、活性化型の形態をしたミクログリアが減少したことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究成果に引き続き研究を遂行することができた。特に、目標としていたEPO-EPORシグナルを介したミクログリア活性化調節機構が存在することを、in vitroおよびin vivoの実験結果により明らかにすることが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ヒトiPS細胞由来のニューロンおよびグリアを用いた実験を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
比較的順調に実験を遂行することができたため、次年度に使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き実験試薬を購入し、計画していた実験を遂行する。
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