研究実績の概要 |
ラットBleomycin肺線維症モデルを用いて、新生児慢性肺疾患(Chronic lung disease of the newborn, CLD)に対する炎症収束性脂質メディエーターの効果を検討し、resolvinの効果については確証を得たので、引き続き、胎児肺発達過程とBleomycin肺線維症モデルでの網羅的遺伝子発現profileのデータを文献から集積し、変化のある上位遺伝子の中から両過程において共通の遺伝子であるANLN(anillin actin binding protein), IGF-1(insulin-like growth factor), Tnc (tenascin)、Eln (elastin)、Pla2g2a (phospholipase A2)を選び発現の変化を見た。これらの候補遺伝子の中で、最終的にANLNとIGF-1の2つがbleomycin負荷で発現が増加し、resolvin投与によってcontrol levelまで抑制されていた。また、酸化ストレスマーカーに関しては、脂質過酸化の指標としての4-hydroxynonenalや、タンパク過酸化の指標であるdityrosineは、いずれも明らかな差を認めなかった。以上より、resolvinは、IGF-1遺伝子発現を変化させることによってbleomycinの肺発達抑制を解除していることが示唆された。この結果は、肺発達を正常化させる治療法開発の基礎となるものと考える。
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