研究課題
本研究では、Fli1遺伝子の恒常的な発現低下がマクロファージの極性変化に及ぼす影響について検討を行っているが、昨年までの研究成果により、Fli1の発現低下はarginase-1プロモーターに作用して直接的にarginase-1の発現を抑制することによりM2マクロファージへの分化を誘導すること、およびマクロファージのprecursorである骨髄細胞において特異的にFli1の発現を欠失させたマウス(Fli1 flox/flox;LysM-Cre+/-)では皮膚において自然に線維化が生じることが明らかとなっている。今年度は同マウスにおいて自然に皮膚硬化が生じる機序について検討したが、①同マウスでは強皮症に特徴的な血管の構造異常(細動脈の狭窄、毛細血管の拡張)および機能異常(血管透過性の亢進)が認められること、②これらの血管異常が最初に生じ、その後に皮膚硬化が生じること、③血管の構造異常が出現すると同時に内皮間葉移行が生じ、血管内皮細胞から筋線維芽細胞が供給されていること、④血管の構造異常が出現する背景にはマクロファージと同じ起源をもつ骨髄由来のPHC(pro-angiogenic hematopoietic cells)の機能異常が関与していること、が明らかとなった。つまり、骨髄細胞特異的にFli1の発現を低下させることにより、「血管障害」→「線維化」という強皮症に特徴的な病態カスケードに沿って、強皮症に特徴的な血管の構造異常・機能異常および線維化が忠実に再現できることが明らかとなった。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Exp Dermatol.
巻: 25 ページ: 287-292
10.1111/exd.12920.
Br J Dermatol.
巻: 174 ページ: 338-347
10.1111/bjd.14183.
Arthritis Rheumatol.
巻: 67 ページ: 3245-5355
10.1002/art.39312.
巻: 173 ページ: 681-689
10.1111/bjd.13779.
巻: 67 ページ: 1335-1344
10.1002/art.39062.
Rheumatology (Oxford).
巻: 54 ページ: 1308-1316
10.1093/rheumatology/keu479.