全身性強皮症は、免疫異常・炎症、血管障害、線維化を主要3病態とする原因不明の膠原病である。転写因子Fli1の発現低下は本症の線維化と血管障害に深く関わっているが、免疫異常・炎症の病態における役割は不明である。本研究では骨髄系細胞におけるFli1の発現低下の意義を検討したが、①Fli1の発現低下はM2マクロファージの分化を促すこと、②骨髄系細胞特異的Fli1欠失マウスでは内皮間葉移行が生じ、皮膚硬化が自然発症すること、③同マウスではTh2/Th17優位な炎症が生じること、が明らかとなった。以上より、骨髄系細胞におけるFli1の発現低下は本症のすべての病態に関与していることが示唆された。
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