研究実績の概要 |
背景:難治性慢性痒疹は、著明な痒みを主訴として比較的孤立性の強い丘疹が見られる疾患中高齢者に多い難治性疾患である。特に慢性痒疹は皮膚科特定疾患Ⅰとして指定された難治性疾患であり非常に強い痒みによりにより、患者は様々な精神的苦痛を受ける。一方、アトピー性皮膚炎の皮膚病変においても痒疹結節が重症成人型アトピー性皮膚炎で認められることが多く非常に難治性である。慢性痒疹、アトピー性皮膚炎の痒疹反応の病態も依然明らかになっていない。近年、我々の研究室では抗原特異的IgE遺伝子を導入したトランスジェニックマウスに大量抗原を同一の部位で惹起することにより痒疹モデルマウスを樹立した(Immunity, 2005, Mukai K, J Immunol,2015, Hasimoto T et al)。 方法:デルマウスを用いた各種難治性疾患における好塩基球の役割解析 抗原特異的IgE導入マウスの背部に大量の抗原を数回皮下投与することにより誘導した痒疹モデルマウスを用いての発症機序、痒疹反応との違いなどに関して各種サイトカイン、ケモカイン、接着因子、Th1,Th2,Th17細胞に関してRT PCT法を用いてmRNAの発現、ELISAにて蛋白レベルの解析(Hashimoto T, J Immunol,2015) 結果:痒疹モデルマウスの病変部のサイトカインの発現を検討した結果、IL-4, IL13, IL-17などTh2サイトカインの発現が亢進していた。表皮も増殖していた。好酸球、好塩基球も浸潤していた。 考察:痒疹モデルマウスの解析の結果、痒疹の病変と同じサイトカイン、ケモカイン、炎症細胞浸潤が認められた。このモデルマウスを用いて新規治療法を開発することが可能となった。
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