研究実績の概要 |
水疱後に引き続いて生じる掌蹠膿疱症の炎症誘因として、水疱内LL37濃度の上昇が強く示唆された。そのため、水疱内容に含有されるhCAP18/LL37の蛋白量をdot blotting / densitometryにより検討し、おおむね3μMと確認をした。この濃度を用いてLL37が表皮ケラチノサイトに実際に炎症性変化を引き起こすことが可能かどうかを検討した。二次元単層培養系ケラチノサイトにLL37合成ペプチドを添加し、経時的にIL-17, IL-8, IL-1α, IL-1β mRNA及びタンパクレベルをqRT-PCR及びELISAにて検討し、upregulationが生じることを確認した。
LSEに対して、ニコチン抽出液及びS.aureus及びS. epidermidis(heat inactivated bacteria component)を添加し、同様に炎症性サイトカインの動態を観察した。qRT-PCRにて明らかなupregulationが確認できなかったことから、表皮角化細胞に対するこれら物質の直接的病態への関与の可能性が低いことが示唆された。しかしながら、既報論文では二次元単層培養系において炎症性サイトカインが誘導されているという報告があり、二次元単層培養系とLSEの最大の相違点であるところの角層バリアの影響が考慮される。従って、この角層バリアが障害を受けている場合に関与がある可能性について、さらに追加実験を行い、検証をする必要が生じた。
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