研究課題/領域番号 |
25461671
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
中島 英貴 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (70314995)
|
研究分担者 |
中島 喜美子 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (20403892)
佐野 栄紀 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (80273621)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | LRG / 乾癬 / ノックアウトマウス / K5Stat3C / CRP / 好中球 |
研究実績の概要 |
尋常性乾癬に対する治療効果や病勢の評価として、従来のマーカーとして血中CRP が挙げられるが、我々の検討では皮疹重症度との相関は見られず、特に中等症と軽症患者の間において有意な差は認められなかった。今回我々は、血中のロイシンリッチα-2グリコプロテインLeucine-rich α-2 glycoprotein (LRG) が乾癬の重症度と相関すること、さらに乾癬患者血中の好中球においてLRG の発現が上昇し、乾癬の皮疹局所および肝臓においてLRG が産生されること、加えて乾癬モデルマウスにおいてLRG 遺伝子をノックアウトすることにより乾癬様皮疹の軽減を認めたことから、乾癬のバイオマーカーとしてLRG が有用であることを実証した。 乾癬患者および健常人末梢血から単核球と好中球を分離し、LRGの遺伝子発現を検討したところ、好中球は乾癬患者において有意な発現の上昇を認めたことから、乾癬患者におけるLRG 産生は好中球と関連があると考えられる。乾癬患者血中LRG は健常人よりも有意に上昇し、CRP とも強い正の相関を示した。さらに乾癬皮疹部においてLRG の遺伝子発現上昇ならびに免疫染色によりLRG 陽性細胞の存在を認めた。 乾癬モデルであるK5.Stat3C マウスにおいて乾癬様皮疹を誘導すると、皮疹部ならびに肝臓においてLRG の遺伝子および蛋白発現の上昇と、血中LRG の上昇を確認した。 K5.Stat3C マウスとLRG ノックアウトマウスを交配させ、乾癬様皮疹形成におけるLRGの影響を検討すると、LRG 除去により皮疹は軽減した。 結論として、乾癬において血中LRGはCRP よりも病勢を反映するバイオマーカーであり、さらにLRG は皮膚病変の形成を促進することから治療効果の判定にも有用であると考えられる。
|