研究課題/領域番号 |
25461672
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小川 文秀 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (10333519)
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研究分担者 |
鍬塚 大 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (90437864)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 細胞外マトリックス / 全身性強皮症 / マウスモデル / HDAC阻害薬 |
研究実績の概要 |
TSK/+マウスならびにC57BL/6マウスにSAHAを25,50,100mg/kg連日4週間腹腔内投与し、背部の皮膚を採取し硬化皮膚を測定するなどして組織学的評価を行った。その結果、C57BL/6マウスと比較してSAHAはTSK/+マウスで特異的に有意差を持って皮膚硬化を抑制しえなかった。また、マウスより採取した血清を用いて線維化に関与するとされるTGF-βなど各種サイトカインを検討したが、2群間で有意な差は見られなかった。原因として、SAHAの至適濃度や投与方法を検討する必要があると考えた。まずはin vitroにおいて正常皮膚線維芽細胞とヒト強皮症皮膚組織から抽出した線維芽細胞をサンプルとし、MTSアッセイにてSAHAの細胞毒性を検証した。その結果、いずれの細胞においてもSAHAは濃度1.0-1.2μM、投与時間24時間が至適であると判断した。一方で、SAHAと同じHDAC阻害剤であるTSAを用い、HDAC阻害剤が正常皮膚線維芽細胞に及ぼす影響を検証するためマイクロアレイを用いてmRNAの発現を検討した。その結果、HDAC阻害剤の投与によって、COL1A2など強皮症で増加しているコラーゲン分子のmRNAが低下することがわかった。サイトカインに関してIL-1βやIL-6はTSA投与により上昇したものの、TGF-βやIL-4、IL-13については変動がみられなかった。現在、正常線維芽細胞と強皮症由来の線維芽細胞を培養したのちSAHAの至適濃度および投与時間にて反応させ、mRNAを回収し、今後の解析のための準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初想定されていたSAHAの投与濃度と反応時間では不適切と考えられたため、実験方法の修正などが必要であった。
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今後の研究の推進方策 |
SAHAを投与した正常線維芽細胞ならびに強皮症由来の線維芽細胞から採取したmRNAの解析をすみやかに行い、細胞外マトリックスの評価に加え、膠原線維産生に関わるサイトカインであるIL-4、Il-6、IL-13などの発現について検討する。また細胞成長因子であるbFGF、PDGF、TGF-βなどについて検討を行う。その後、TSK/+マウスモデルを用いて再度SAHAを投与し上記項目の検討を行う。なお、その際SAHAの濃度は1.0μMに準じる形で投与を行う。また投与方法に関しては、腹腔内投与のほか皮下注投与についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
SAHAの至適濃度を決定するために時間がかかってしまったため、SAHA投与実験を速やかに始めることができなかった。今後は解析と追加実験、培養実験が主体となるため、これまでの遅れは十分に取り戻せると考えている。
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次年度使用額の使用計画 |
PCRプライマープローブ 40万円、HDAC活性測定キット 10万円、培養試薬その他試薬 19万円
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