研究課題
創傷治癒では組織欠損部を充填するために細胞外マトリックス(extracellular matrix:ECM)が盛んに合成・蓄積され創傷閉鎖へと進む一方ECM産生異常により過剰に蓄積を起こすと肥厚性瘢痕・ケロイドとなる。本研究ではコンドロイチン硫酸鎖を有するプロテオグリカンであるバーシカンに焦点を当て、創傷治癒過程での空間的・時間的発現を解析した。さらにトランスジェニックマウスを新たに作成し、バーシカン産生間葉系細胞をトレースした。 1型コラーゲン分子と違い、バーシカンは再上皮化が終了すると真皮から速やかに消滅し、正常皮膚と同様に毛乳頭・毛包周辺に残存するのみとなった。このような一過性に発現するECMバーシカンは、細胞浸潤が盛んな時期に一致して存在するため、細胞遊走と関連を有する可能性を示唆した。Ver-Creマウスを作成しVer-Cre;ROSA26R マウスでトレース実験を行ったところ、本研究で使用しているプロモーターは創傷部位に一致し転写を増強させる活性があることが確かめられた。創傷におけるトレースの結果、バーシカン産生細胞は7日前後で最も多くなり14日には完全に消滅することが分かり、免疫染色で確かめられたバーシカン沈着とその減少と一致を見せた。本知見ならびにケロイドではバーシカン産生が明らかに認められることから、ケロイドにおいてはバーシカン産生細胞が消滅しないでゆるやかな増殖を続ける性質を維持していることが想像された。創傷治癒でのバーシカンの役割をより詳細に解析したこの研究は、バーシカンが潰瘍治療において新たな分子ターゲットとなり得ることを示唆していると共に、この研究から得られた知見は難治性潰瘍治療への「創薬」に繋がると考えた。
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