研究課題
本研究では、①正常皮膚および病的状態の表皮細胞におけるポドプラニンの機能を解明すること ②その結果をもとに病的状態、特に創傷治癒および皮膚悪性腫瘍においてポドプラニンの発言を制御することにより治療効果が得られるかどうかを検討することを目的とした。創傷治癒において、表皮細胞におけるポドプラニンの発現は亢進していた。創傷治癒における表皮細胞ポドプラニンの機能について、培養表皮細胞にポドプラニンSiRNAにより発現を抑制して機能解析したところ、ポドプラニン遺伝子発現抑制した表皮細胞では、増殖能、遊走能が有意に低下した。また、ポドプラニンの受容体の一つであるCLEC-2による刺激を加えたところ、表皮細胞の増殖、遊走が有意に低下した。以上より、ポドプラニン/CLEC-2シグナルは、表皮細胞において、増殖、遊走を制御する機能があることが判明した。皮膚悪性腫瘍における表皮ポドプラニンの機能について、乳房外パジェット病の手術検体を用いて検討した。乳房外パジェット病における表皮ポドプラニンの発現は、腫瘍のthicknessと浸潤の有無と正の相関を示した。つまり、表皮細胞のポドプラニンの発現を認める群では、認めない群と比較して腫瘍が進行期にあり、表皮細胞のポドプラニン発現が乳房外パジェット病における予後予測因子となる可能性が示唆された。今後、ポドプラニンの制御による創傷治癒や皮膚悪性腫瘍の病勢コントロールについてさらなる検討をしていく予定である。
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Am J Pathol
巻: 186(1) ページ: 101-108
10.1016/j.ajpath.2015.09.007