研究課題
水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid 以下BP)は、高齢者に好発する最も頻度の高い自己免疫性水疱症であり、BP180のNC16a部位に対する抗体の病原性の研究は進んでいるが、もうひとつの標的抗原として古くから示されているBP230蛋白に対する抗体の病原性は不明である。BP230抗原の検出において、BP230に対する自己抗体にBP病変発症における病原性を研究し、その臨床的意義を検討した。まず約150例のBP患者血清についてELISA法を用いて、抗BP180抗体と抗BP230抗体の検出の有無により、3つのグループに分類した(抗BP230抗体単独陽性群、抗BP180抗体と抗BP230抗体両方陽性群、抗BP180抗体単独陽性群)。臨床学的特徴を解析し、《抗BP230抗体単独陽性群》では、他の2群と比較し有意に重症度は低く、治療の反応性もよかったことがわかり、《抗BP230抗体単独陽性群》は軽症の臨床傾向を示した。さらにBP230 のN, M, C領域に細分したリコンビナント蛋白質を用いた免疫ブロット法ならびにELISA法を施行し、免疫学的解析を行った。その結果、《抗BP180抗体と抗BP230抗体両方陽性群》はBP230-N, M, C領域すべてに反応するのに対し、《抗BP230抗体単独陽性群》はBP230- C領域に多く反応した。このことよりいわゆる抗BP230抗体単独陽性のBPは、BP230- C領域に特異的に病因エピトープを有していることが示唆された。抗BP180抗体を検出するBPの抗BP230抗体の意義はエピトープスプレッディングにより検出する機序を推察するが、抗BP180抗体を検出しない抗BP230抗体単独陽性のBPでは、それとは異なった機序を推察する。
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