7型コラーゲンプロモーターを標的にした劣性栄養障害型表皮水疱症の新規治療法の開発

2015 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 25461681
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 有田 賢 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (50374434)
• 研究分担者: 清水 宏 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00146672) ; 乃村 俊史 北海道大学, 大学病院, 助教 (50399911)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: 表皮水疱症

研究実績の概要

劣性栄養障害型表皮水疱症（Recessive Dystrophic Epidermolysis Bullosa; RDEB）は生下時から全身に水疱とびらんをきたし、成長障害や指趾の棍棒状変形、皮膚有棘細胞癌を生じる極めて予後不良な疾患である。RDEBは7型コラーゲン遺伝子（COL7A1）の変異により発症し、患者皮膚基底膜では表皮真皮の接着に重要な7型コラーゲンの発現が源弱しており、特にRDEBの最重症型である重症汎発型RDEBでは7型コラーゲンの発現がほぼ消失している。本症に対して安全性が高く有効な治療法は現時点では存在せず、新規治療法の開発が希求されている。本研究では、7型コラーゲン遺伝子のプロモーターを刺激し転写を促進する薬剤を開発し7型コラーゲンの発現増加を促進するというRDEBの新しい治療法の開発を目指した。まず、COL7A1のプロモーターを、レポーター遺伝子の１つであるluc2P遺伝子の上流にクローニングし、COL7A1プロモーターによりluc2Pの発現がコントロールされるプラスミドを作成した。Flp-In systemを用いて、このconstructを安定的に発現する細胞株を作成した。この安定発現細胞株と化合物ライブラリーを用いてスクリーニングを施行し、複数の化合物でルシフェラーゼの発現が増加したが、その大部分が偽陽性であった。今後、真にCOL7A1プロモーターを刺激する化合物を選別する方法が必要であり、表皮角化細胞に添加し7型コラーゲンの発現が増加するかどうか確認中である。

研究成果

• [雑誌論文] Nodular morphoea: a first case associated with linear morphoea. (2016)
  • 著者名/発表者名: Nakazato S, Nomura T, Yamane N, Shinkuma S, Natsuga K, Fujita Y, Arita K, Shimizu H.
  • 雑誌名: European Journal of Dermatology 巻: 26 ページ: 95-96
  • DOI: 10.1684/ejd.2015.2656.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Genetic analysis of a novel splice-site mutation in TMC8 reveals the in-vivo importance of the TMC domain of TMC8. (2016)
  • 著者名/発表者名: Miyauchi T, Nomura T, Suzuki S, Takeda M, Shinkuma S, Arita K, Fujita Y, Shimizu H.
  • 雑誌名: British Journal of Dermatology 巻: in press ページ: in press
  • DOI: 10.1111/bjd.14569.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Generalized acute subcutaneous edema as a rare cutaneous manifestation of severe dermatomyositis. (2015)
  • 著者名/発表者名: Watanabe M, Natsuga K, Arita K, Abe R, Shimizu H.
  • 雑誌名: Journal of European Academy of Dermatology and Venereology 巻: in press ページ: in press
  • DOI: 10.1111/jdv.13460.
  • 査読あり