研究実績の概要 |
平成25年度の研究においてTLR2ノックアウトマウスではイミキモド誘発乾癬様皮膚炎がその野生型マウスであるC57BL/6マウスと比べて増強するが、TLR4ノックアウトマウスでは野生型マウスと同等レベルであることが判明した。その結果を受け、イミキモドを外用したTLR2ノックアウトマウスおよび野生型マウスの皮膚における各種サイトカインの発現を検討した。イミキモドを外用した皮膚を採取しmRNAを抽出しreal-time RT-PCR法にて検討した。イミキモド外用後の皮膚においてTLR2ノックアウトマウスでは野生型マウスと比べて、IFNγ, CXCL9, CXCL10, p35, p28, EBI3の発現の上昇がみられた。また、TLR2ノックアウトマウスでは野生型マウスと比べて、IL-10, IL-17, IL-22, CCL20, p19, p40の発現は逆に低下していた。さらに、制御性T細胞のマスター転写因子であるFoxp3のイミキモド外用部での発現がTLR2ノックアウトマウスでは野生型マウスと比べて低下していた。TNF-αの発現には両者で差がなかった。IFNγ, CXCL9, CXCL10, p35, p28, EBI3はTh1系のサイトカインであり、その一方IL-17, IL-22, CCL20, p19はTh17系のサイトカインであることを考えると、イミキモド外用にてTh17系のサイトカインの発現は低下し、Th1系のサイトカインの発現は上昇していることになる。また、IL-10は抑制性のサイトカインとして知られている。乾癬は通常Th17/Th1が関わる疾患であることを考えると、Th1系サイトカインの上昇と制御性T細胞の数的減少や抑制性サイトカインの発現低下がTLR2ノックアウトマウスでのイミキモド誘発乾癬様皮膚炎の増強に関与している可能性が考えられた。
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